10年後、今が一番おもしろい!と思えるパチンコであってほしい話


 振り返ると初めてパチンコを打ったのは約35年前。当時羽根モノの代名詞であった「ビッグシューター」でパチンコデビューを飾り、そこから学生時代はバイトで稼いだお金をつぎ込み、紆余曲折を経て「仕事にしたい」と攻略雑誌の世界に飛び込みました。以降、仕事としての側面もあるにせよ、今も趣味はパチンコ・パチスロと言えるくらい遊技することは嫌いじゃありません。

 同年代のパチンコ好きと話をすると「昔は良かった」みたいに言われることが多く、私自身も昔はとにかく楽しかったと記憶しています。羽根モノがあって、デジパチが存在し、大人の嗜みとして一発台・権利モノがコーナー分けされていました。羽根モノは小銭でも遊ぶことができ、金銭的にも参加しやすく、また今では考えられないような玉の動きに一喜一憂できたのは事実でしょう。しかし現在の機械が面白くないのか?と問われれば、射幸性に関しては過去最高レベルに上げることができる現状に加えて、液晶演出を筆頭に演出面の向上は計り知れません。決して無駄な進化ではないですし、性能ということでいえば今が史上最高なのは間違いない。

 さて、ここで切り口を変えて……今思えば昔は本当に良かったのか?ということを、現在54歳第二次ベビーブーム世代生まれの自分が振り返ってみたいなと。ベビーがブームになる時代があったのかと思うくらい出産事情もこの35年間で激変したのですから、当然パチンコだって変化して現在に至るわけでして、自身の体験も含めてプレイバックしていきます。

 まず私がパチンコを知ってのめり込んだ時代。パチスロは2号機が登場し、パチンコは先に述べたようなシマ構成でした。この時代の良かった点は、アナログ的な玉の動きがとにかく面白い機種が多かった。これは間違いないところであり、もし今の若い人が打っても素直に面白いと感じるのではないでしょうか。またパチンコ店営業のイロハや、完全確率とはなんぞやを理解すれば、勝つことが容易だったのも間違いない。今風に言えば、ボーダーラインを超える優良台を抑えることは難しいことではなかった。よって日当1万円程度の稼ぎでよければ、極論ですが「誰でもパチプロになれる時代」といっても過言ではなかった。しかしその一方で、適当に打っていればそれこそまず負けてしまう環境でもありました。羽根モノなら5000円もあれば出たり飲まれたりを繰り返して数時間程度は遊べたでしょうが、基本負け組です。まあ、それでも遊べたという感覚は今よりもあったのかもしれませんが。

 時は過ぎ…旧要件機が撤去され、市場はCR機全盛となります。大工の源さんやモンスターハウス、ギンギラパラダイスあたりがどの店でもボックス導入当たり前で営業されていた時代。ホール営業では接客サービスに力を入れ、交換率も従来の40個交換から等価交換を打ち出すところが出現。LN(ラッキーナンバー)制もあれば無制限営業もあって、そこにホールの大型店舗化も進むなど最も勢いがあった時代です。

 この当時、とあるホール様へ取材に訪れたとき、閉店間際に聞こえてきた数字でとても印象に残っているものがあります。お店の営業部長さんと食事後に事務所へと戻り、おもむろにホールコンの数字を見て部長さんがいった言葉…「12割超えてるわ。出過ぎたわっ」と。当時は40個交換が主流ですから、今風にいうと16割が分岐営業。つまり3割以上とってもなお出過ぎと表現されていたのです。ちなみに自分の感覚で言えば、このホール様は優良店の部類であり、粘れば勝てる台が多数ありました。つまり交換ギャップがある時代は、明確に勝ち組と負け組で分断されていた時代なのだろうなと振り返っても思うわけです。

 そういった格差を埋めるため、機械性能が時には低くなることも相まって等価交換、もしくはそれに近い交換率が現在の主流となっていったと理解しております。全パチンコユーザーという観点からすれば、「粘りと根性」が勝ちに繋がる時代ではなくなったので、短時間勝負でも楽しめる営業スタイルに変化したとも言える。そこに機械性能の高さ、そして機械代や諸々の経費高騰、さらには客数減少もあって、全ユーザーに負担を強いているのが現状です。その流れゆえ、勝ち抜いてきたオールドユーザーは勝ちにくくなったと嘆き、昔を美化している側面もあるのかな~と考えるわけです。ってか実際そういう流れでここにたどり着いたのかなと。

 短命だったね、といわれるLT3.0プラス一発目の「eフィーバー炎炎ノ消防隊2」。これがもし35年前の市場に投入されたら、社会問題になるくらいブームを巻き起こしたと思います。それこそ私が体感していないかつての連チャン機と同じようなブームになっていたはず。刺激に慣れてしまった我々が悪いのか、そんなものばかり作るメーカーが悪いのか、魅力的な営業ができないホールが悪いのか。個人的に思うのは、これから10年後、結果的に10年前の方が面白かったね~と振り返るような未来にはなっていないことを望みますね。今回は少々長くなりましたが、常に最先端が面白い業界であって欲しいとの願いを込めて書かせて頂きました。