2024年10月の業界動向とウワサ
2024年10月10日(木)
先月もここで触れたBT(ボーナストリガー)機のデビューが来年に決定しました。また、スマパチ×LT2.0と銘打ったキャンペーンが行われるなど、パチンコも細かな内規変更を続けながら、少しずつではあるものの射幸性を含めたゲーム性の幅が広がりつつあります。結果として、パチンコ・パチスロ共に過去最高の進化を遂げた形でホールに新台が設置され続けています。
しかしながら人口減少や遊びの変化、所得格差といった問題も含めて、遊技客は年々減り続けています。2024年は新札対応によって新たな設備投資が大きくかさんだこともありますが、店舗減少もまた下げ止まらないのが現状。メーカー・ホール共に厳しい状況は続いています。
現時点で残っているユーザーもまた現状を憂いています。以前に比べて一撃性能は高いものの、そこに行きつくまでにかなりの投資を強いられる機械が多く、客単価は年々高くなる一方。現在のホール営業は20年前のぼったくり正月営業とほぼ同じ数値と言われており、その当時は「まあ正月だから仕方ないか」と思っていたような調整が、昨今はどこでも普通に散見されます。
この負のループを打開しようと、時代背景は一旦抜きにして、「パチンコ業界が良かった頃の営業スタイルに戻したらどうだろう?」という議論がコンサル界隈でもネットでも度々起こります。ホール法人によってはこれを真剣に検討したところもあるはずです。地域によっては等価交換営業ができないところもありますが、それでもパチンコ100円25玉貸し、100円分の特殊景品=28玉交換と準等価的な営業スタイルが基本かつ、ほぼそのレートで運営しているところは多いはず。このスタイルを100円25玉貸しの部分は崩さずに、景品を30玉交換、もしくは33玉交換にすることで、パチンコならスタート(回転数)に還元して遊べるようになり、パチスロなら設定ベースを上げることができるようになる。これは遊技客一人当たりの遊技時間を延ばし、大衆娯楽の概念に基づいた遊びに戻すという考え方です。
1円パチンコを含めた遊び方が定着していることを踏まえても、射幸性と遊びやすさにバランスを求めるユーザーがそれなりにいることは証明されています。よって交換率を下げて遊べるようにすることが求められているようにも思えますが、そういった店舗は全国にほとんどありません。大手チェーン店ですら、試験的にそういった営業をしてみようと動き出したなんて情報もない。つまり何らかの理由があって、そのような営業が現状では不可能に近いということ。理想と現実、なぜ不可能に近いくらい難しいのか説明していきましょう。
まず、交換率を下げることによってスタートを上げて還元率を上げることについて。スタートを上げるということは、ざっくばらんに言えば釘を開けるということで、原則この釘を開けることが違法行為にあたります。厳密に言えば以前から違法行為ではあるものの、現在はきっちりとそれが明示され厳罰化されているので、釘シートの範囲での整備がやっとです。つまりスタートに直結する釘を大きく開けることが難しい。メーカーから発売される機種は出玉率100%を切るような出荷調整となるため、そうした営業に適した新台も現状では1機種もありません。
そして、交換率が低くなればなるほど出玉率は上げるわけで、出玉率100%を超えた場合、投資金額との兼ね合いもありますが、粘れば粘るほどに持ち玉は(長い目で見れば)増えていくことになります。かつてのパチプロが比較的容易に勝てたのも、(稼げる時給は実力差になりますが)回る台を見つけてとにかく粘れば勝てる時代だったから。ネット社会となった現在はパチプロも組織化しており、打ち子募集等、SNSでも盛んに声掛けされています。結局のところ、そうした集団に朝から粘られてホール側が赤字を喰うだけになる可能性が高いわけで、逆を言えば、そういったプロが寄り付かないような調整では短時間で遊ぶユーザーほど負けることになります。
こういったことが交換率を下げられない大きな要因です。しかし、10数年ぶりに貯玉再プレイ手数料を取れるようになったりと、交換率を下げる動きもちょっとずつ進んでいるのは事実。大衆娯楽の代表格として令和の時代にもパチンコは君臨できるのか……もはや待ったなしの状況です。
しかしながら人口減少や遊びの変化、所得格差といった問題も含めて、遊技客は年々減り続けています。2024年は新札対応によって新たな設備投資が大きくかさんだこともありますが、店舗減少もまた下げ止まらないのが現状。メーカー・ホール共に厳しい状況は続いています。
現時点で残っているユーザーもまた現状を憂いています。以前に比べて一撃性能は高いものの、そこに行きつくまでにかなりの投資を強いられる機械が多く、客単価は年々高くなる一方。現在のホール営業は20年前のぼったくり正月営業とほぼ同じ数値と言われており、その当時は「まあ正月だから仕方ないか」と思っていたような調整が、昨今はどこでも普通に散見されます。
この負のループを打開しようと、時代背景は一旦抜きにして、「パチンコ業界が良かった頃の営業スタイルに戻したらどうだろう?」という議論がコンサル界隈でもネットでも度々起こります。ホール法人によってはこれを真剣に検討したところもあるはずです。地域によっては等価交換営業ができないところもありますが、それでもパチンコ100円25玉貸し、100円分の特殊景品=28玉交換と準等価的な営業スタイルが基本かつ、ほぼそのレートで運営しているところは多いはず。このスタイルを100円25玉貸しの部分は崩さずに、景品を30玉交換、もしくは33玉交換にすることで、パチンコならスタート(回転数)に還元して遊べるようになり、パチスロなら設定ベースを上げることができるようになる。これは遊技客一人当たりの遊技時間を延ばし、大衆娯楽の概念に基づいた遊びに戻すという考え方です。
1円パチンコを含めた遊び方が定着していることを踏まえても、射幸性と遊びやすさにバランスを求めるユーザーがそれなりにいることは証明されています。よって交換率を下げて遊べるようにすることが求められているようにも思えますが、そういった店舗は全国にほとんどありません。大手チェーン店ですら、試験的にそういった営業をしてみようと動き出したなんて情報もない。つまり何らかの理由があって、そのような営業が現状では不可能に近いということ。理想と現実、なぜ不可能に近いくらい難しいのか説明していきましょう。
まず、交換率を下げることによってスタートを上げて還元率を上げることについて。スタートを上げるということは、ざっくばらんに言えば釘を開けるということで、原則この釘を開けることが違法行為にあたります。厳密に言えば以前から違法行為ではあるものの、現在はきっちりとそれが明示され厳罰化されているので、釘シートの範囲での整備がやっとです。つまりスタートに直結する釘を大きく開けることが難しい。メーカーから発売される機種は出玉率100%を切るような出荷調整となるため、そうした営業に適した新台も現状では1機種もありません。
そして、交換率が低くなればなるほど出玉率は上げるわけで、出玉率100%を超えた場合、投資金額との兼ね合いもありますが、粘れば粘るほどに持ち玉は(長い目で見れば)増えていくことになります。かつてのパチプロが比較的容易に勝てたのも、(稼げる時給は実力差になりますが)回る台を見つけてとにかく粘れば勝てる時代だったから。ネット社会となった現在はパチプロも組織化しており、打ち子募集等、SNSでも盛んに声掛けされています。結局のところ、そうした集団に朝から粘られてホール側が赤字を喰うだけになる可能性が高いわけで、逆を言えば、そういったプロが寄り付かないような調整では短時間で遊ぶユーザーほど負けることになります。
こういったことが交換率を下げられない大きな要因です。しかし、10数年ぶりに貯玉再プレイ手数料を取れるようになったりと、交換率を下げる動きもちょっとずつ進んでいるのは事実。大衆娯楽の代表格として令和の時代にもパチンコは君臨できるのか……もはや待ったなしの状況です。
PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。