2021年9月の業界動向とウワサ


 東京オリンピック・パラリンピックも無事に閉幕し、デルタ株の感染力の高さで医療崩壊が叫ばれた第5波もようやく落ち着きつつある9月。パチンコ業界は年末商戦に向けての動きが活発になってきていますが、ここで1つ大きな問題が……。すでに経済ニュースでは大きく取り上げられることも多くなった「半導体不足」です。

 半導体とは、PCを始めとした電化製品には欠かせない部品で(半導体だけではありませんが)これら部品の供給がかなりひっ迫しています。その理由はテレワークや巣ごもり需要による需要の急拡大と、コロナや自然災害等による工場封鎖による供給体制のひっ迫です。このような理由でゲーム機やパソコンの品薄が続いており、自動車の供給ですら減産が伝えられていますが、パチンコ・パチスロメーカーも部品の手配に手を焼いている状況だとか。

 すでに販売スケジュールを後ろ倒しにした案件も出てきていますが、年末から来年1月にかけての旧規則機撤去の際には大きな新台重要が生まれます。ここを目指してメーカー各社は新機種開発を進めており、複数の大型タイトルが噂されているものの、試験を通過するか否かだけでなく、部品をきっちり確保できるかどうかもポイントとなっているとのこと。つまり売れるタイトルが型式試験を通過し、ホールサイドも沢山買いたいというまさに願ったり叶ったりの状況となっても、部品が足りなくて作れない……なんてことがかなりのタイトルで起こりそう。そうなると結果的に旧規則機の入れ替えもままならないなんてことも予想されます。

 一応、監督官庁の警察庁とは、部品の置き換えについても一部認めてもらう(本来は提出したものと全く同じ部品でないとNG)動きを進めているとはいえ、それでも必要数が集まらない部品は出てくるとのこと。この年末に向けて状況がさらに悪化することはあっても、改善することは恐らくないでしょうから、先行きはかなり不透明ではあります。次回コラム以降は、具体的なタイトルごとに情報が入れば書いていきたいと思います。

 さて、こうなってくるとホールサイドは「現在設置されている5号機や旧規則機を超法規的に延命設置できないか?」という動きを再度働きかけてくる可能性はなきにしもあらず。現場では、それは不可能では?との空気感となっていますが、実際入れ替えられる機械が本当に出ないとなれば、何かしらの判断をしなくてはなりません。あと1〜2ヶ月経過した段階で議論が活発化する可能性は否定できませんね。

 本来ならば、この旧規則機の撤去がしっかり終わって封入式マシン、メダルレス機の規則見直しの本格化を進めたかったであろうメーカーサイドですが、またしても旧規則機がホールに残るとなると計画が狂ってきます。ホールサイドからすれば未来を見つつも、やはり機械代をかけずに目先の利益を稼ぐことができる機械を1日でも長く置いておきたいのもまた事実。昨今は日遊協に代表されるように、メーカーホール横断組織の活動も活発となっていますので、両者共に業界の未来を見据えて動きを決めてほしいと思います。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。