2021年2月の業界動向とウワサ


 恐れていたことが現実になってしまったのか。それともパチンコ業界らしい想定内の出来事なのか……。2021年1月、初代沖ドキが設置期限を迎えて、地域によって差はあれど全国のホールから姿を消す予定でした。しかしこれは業界内の自主規制ということもあり、法的には何ら問題ないということで未撤去および再設置するホールが続出。現時点ではいわゆる正直者が馬鹿を見るという状況になりつつあります。なぜこれほどまでに再設置が進んでいるのか?

 冒頭でも述べましたが、今回の撤去は業界団体(21世紀会)の決議によって決定されたルールであるということ。もちろん担当行政機関の警察庁と連携しての流れにはなりますが、高射幸機はもちろんのこと、高射幸機ではないものの沖ドキもまた定められた期限までの設置とし、過度な射幸性の抑制に全力で取り組む姿勢を見せないと業界に未来はないという判断からの決定です。

 もちろんその裏には6号機開発における最大のネックである有利区間の撤廃や2400枚リミッターの撤廃等を警察庁側と相談し、そのあたりを含めた試験の緩和について対話をしていきたいという動きもあります。

 メーカーだけでなく、ホールもまた出玉的に魅力のある機械の登場を待っているのは同じです。しかしコロナ禍も相まってか、足元の商売が厳しいことからドル箱マシンである沖ドキの再設置を決断したホールが現時点(2/8)で100軒近くに上ります。赤信号みんなで渡れば怖くない……という心理でしょうか、これからも再設置店が増えていく可能性は高いと思われます。

 沖ドキの法的な設置期限は今年5月。残り3〜4ヶ月程度とはなりますが、再設置した沖ドキの稼働状況はピカイチで、目先の利益という意味では抜群の成績なのは間違いないでしょう。しかし、こういった一部ホールの決断がどれだけ業界全体の未来に暗い影を落とすのか……。現時点ではどうなっていくのか予測できませんが、それでも監督省庁の心象を悪くしたのは間違いありません。自主的とはいえ、ルールを直前でひっくり返す団体からの陳情など果たして前向きに聞いてくれるのか……そうはならない可能性大でしょう。

 21世紀会とすれば、かなり強い言葉で撤去を促しているものの、現状ではどこまでホール側が動いてくれるか微妙な状況です。また、メーカーもルール無視のお店には新台を売らないよう対応するという話もありましたが、それを実行しているメーカーはほとんどないのが現実。メーカーも商売と言ってしまえばそれまでで、こういった事例を見ても再設置ホールのやったもん勝ちになる土壌は残念ながらあります。

 前回のコラムでも書きましたが、パチンコ業界は不況に強いと言われてきました。しかしパチスロが6号機となり出玉性能が落ち、パチンコもパチスロほどではありませんがMAX出玉が1500発に抑えられるなど、いまひとつ盛り上がりにかける状況です。遊タイム機も天井がある分だけ釘が閉まってしまうこともあり、まだまだ旧規則機の初代北斗無双におんぶにだっこの状態。皮肉にも沖ドキが撤去されて閑古鳥が鳴いているホールが増えたのは事実であり、本来なら未来を見据えて業界が一丸とならないとダメなのは皆が分かっていることだと思いますが……。

 いずれにせよ、今年11月にはノーマルタイプを含めた5号機パチスロならびに旧規則のパチンコも全て撤去されます。もしかしたらその時点で商売をやめようかと考えているホールが、沖ドキで最後のひと稼ぎをしようとしているのかもしれません。パチンコは日本の文化的産業と言われる方もいらっしゃいますが、その文化がいよいよ終焉を迎える可能性が出てきました。もちろん今とは形を変えてアミューズメントとして残っていく可能性もあり、自分自身はそうであって欲しいと願う一人ではありますが……。ピンチな局面で一丸となれない現状は、業界の未来を考えるとかなりのマイナスなのは間違いないでしょう。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。