2019年5月の業界動向とウワサ


 いよいよ封入式パチンコ・パチスロ機が市場投入されるのか? ここに来て、急にその手の噂が飛び回っています。ただし、実際にメーカー開発が動いているのか、またそのメーカーはどこなのかなど、営業マンレベルではその手の情報を持っている人間に未だ遭遇したことはありません。果たして真実はいかに?

 「封入式」とは一体どういった仕組みなのか? パチンコ台で言えば、現在のパチンコ台は色々と問題を孕む釘の存在があり、その整備が大なり小なり行われている現実があります。設定付きマシンが市場に出始めていますが、実際のところ設定機能未搭載機も未だ存在するわけで、そういった機械では整備が行われているのは間違いありません(設定機能が搭載されている機械でも十中八九行われているでしょうが……)。

 封入式マシンになると釘の整備は完全NGになると言われています。玉がパチンコ台の中で循環する仕組みになり、前面のガラスも開かない仕様に。出玉調整は設定のみとなり、出玉もすべてデジタルで表示されます。スロットも根本的には同様で、いわゆるコインレスになると予想されます。

 封入式マシンのメリットは、玉・コインが各台にて循環されるので、いわゆる「シマ」に設置するという概念がなくなると言われています。つまり店内に自由にレイアウトできることになり、これが一番のメリットとなります。また、係数管理や各台の出玉のインアウトが明確になるので、諸々の管理が完璧にできるとも言われています。もし将来的にパチンコ税が導入されるとすれば、このあたりをきっちり管理できるのは魅力でしょう。

 そしてもう一点、新しいものを導入するには当然ながら設備投資が必要となります。これを促進するため、封入式には出玉的なメリットが設けられる可能性もあります。実際、メーカー側の狙いはここだろうと思います。かつてCR機が導入された際も、確率変動機能がCR機のみ優遇されたのはその当時の業界人ならばご存じの通り。

 現在におけるパチンコという存在の問題点は、あらゆる意味での曖昧さと言えるでしょう。昭和時代に産声を上げ、平成で超巨大産業へと変貌。しかし法的な整備は全くといって良いほど追いついておらず、そのあたりの整備を令和に持ち越したとも言えます。依存症対策や三店方式の問題、整備を含めた釘の存在など、封入式を導入すれば管理が容易になるのは間違いない。火のないところに煙は立たない……と言いますし、メーカーの中枢では着々と開発が進んでいるからこそ噂が立つのでしょう。

 仮に新たな遊技機として封入式マシンが人気を得るならば、最初は一部コーナーのみの設置になるでしょうが、やがてオール封入式マシンになることも想像できます。店内のレイアウトはカジノのようになり、遊び方もそれに近くなる。そうなるとパチンコでドル箱を積み上げたり、スロットならばドル箱にコインをカチ盛りにするなんて文化は無くなってしまいますね。もちろん手が汚れない、例えば女性ならばネイルをしていても問題なく遊べるといったメリットはあります。実際に訪日外国人などもターゲットにしていくならば、そういった仕様は歓迎するべきでしょう。

 ただし、駅前などに娯楽として存在した街のパチンコ店……こういった存在でなくなっていくのは間違いないところで、繁華街、もしくは大勢の人が集まるところに大型店として生き残る形になるでしょう。イメージするのは映画館。以前は小さなスクリーンが本当に沢山ありましたが、いまや地方都市に行くとその街に映画館が1つあるかどうか。東京だって名だたる歓楽街に映画館は数えるほどしかありません。パチンコ店という存在もそうなっていくのではないか……これも時代の変化。業界にいる我々もそれを受け入れていくしかないのです。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。