2025年2月の業界動向とウワサ


 先月の当コラムではパチンコ営業の高粗利率について言明しました。やはり多くのユーザーも同じことを感じ取っていたのか、某パチンコユーチューバーの「パチンコ終わった」発言もまた、あまりにも勝てない現状へのアンチテーゼであったことは間違いないでしょう。あまりにもインパクトのある言葉ゆえ、業界内でも賛否両論となったわけですが、パチンコが昔に比べれば明らかに勝てないのは事実。よって賛同する声はユーザーを中心に多かったようです。

 この話題は大いに盛り上がったので、もう少し解像度を高く現状のパチンコ営業について掘り下げていきましょうか。ホールが玉を出せない理由はいくつかあります。それを知ることによってユーザーが勝てるようになるわけではないのですが、構造を知ることで少しでもパチンコとの付き合い方にプラスになれば幸いです。

 まず1つ目は、機械の値段が上がっていること。20年前までは40万円を下回る値段で取引されていましたが、現在は台枠込みで50万円近くするものが多いです。パチスロと違って台枠があれば盤面だけの販売も可能ですが、総じて値段は上がっています。消費税もかかるのはもちろん、業界独特の風習で輸送費もホール(購入者)持ちとなっているのが現状です。

 そのように機械が高価になっているにも関わらず稼働が長持ちしないため、早期に利益回収をしないとならない。つまり卵が先か鶏が先か……となるわけですが、利益を取るから長持ちしない。そして長持ちしないからすぐに利益確保に走る。ホールサイドからすれば、目玉機種を確保するために付き合いで新台を購入する場合もあるので、そういった余計なものを買わされるがゆえに、利益回収に走ることも仕方がないと考える関係者は多いです。

 次にネット社会における情報伝達の速さも、玉を出せない理由の1つと考えられます。どの程度の営業スタイルを薄利と言うのかはさておき、出玉率100%を超えていれば最終的にユーザー側はプラスになる。こういった甘いお店、甘い機種の情報はプロ連中にすぐ共有され、打ち子を入れられて利益を持っていかれてしまう。本来は地元のお客さん、常連さんに還元したいのですが、美味しいところを根こそぎ持っていかれてしまうのです。もちろん昔からパチプロは存在しており、一般客の負けの上に成り立っていたのは事実ですが、一般ユーザーのレベルも上がっていれば、プロ側も勝てるとわかった時には容赦なく抜いていく。そういった状況ゆえに玉を出しにくい現状があります。

 そしてもう一点。新台の評価がネット上ですぐに完結してしまうところもネックです。新機種が登場して、100人のユーザーがいれば人それぞれ評価は異なるはず。実際に打ってみて出玉が「出た・出ない」でも感想は変わるでしょう。しかし、パチンコライターやインフルエンサーの評価が導入初日から2~3日でネット上に出始め、そこで「クソ台」の烙印を押されてしまうともうその機種の上がり目はない。

 本来ならば甘めに営業して、多くのユーザーに触ってもらい、その台を「好き」になってもらうというのがやりたいこと。そういったホール毎の営業努力は、ネット社会の現在においてはあまり意味を持たないようです。あの新機種は誰々の評価を聞くと面白くないみたいだから打つのをやめておこう、そうした心理が働くのでしょう。ダメだという意見もあるようだが自分自身で試してみたい……とはならない。あらゆる面において損をしたくないからそうなるのでしょうか。

 ここで逆を言えば、機械の購入を最小限にして、打ち子を有するようなプロを排除すれば、薄利営業が可能となります。ではそういったホールが全国にほぼないのはなぜなのか? その理由は新台を購入して高粗利でも、まだ何とかかろうじて営業が成り立っていたからだと思います。しかしユーザーは日々減っているわけで、ホール軒数も減り続けています。つまり高粗利営業の限界が見えているのは間違いないのです。

 前回のコラムでも触れましたが、これからさらにギャンブル性の高い機械が登場してきます。波を荒くする理由はもちろんそういった機種を好む層がいるのも事実ですが、高粗利体質でも営業可能とするためでもあります。そんな時代に登場したユニバの羽根モノファミスタが高稼働の状況を見ていると、一旦状況を整理しないといけないと切に思います。ユーザーが望む環境を整えないと、この先はもうかなり厳しい状況なのではないでしょうか。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。