2024年6月の業界動向とウワサ


 7月上旬より全国導入が予定されているニューギンの目玉機種「e花の慶次~傾奇一転」。本機はP機とe機が同時にデビューしますが、スマパチの方は以前から噂になっていたe機にのみ許された内規緩和スペックでの登場となります。スマパチ仕様とはいっても獲得出玉の期待値は現行マシンと同じなのですが、それでも大当り確率が199分の1より低くてもLT(ラッキートリガー)機を開発できるようになったのは現状の市場を見れば「朗報」と言えるでしょう。

 LT機に関してはこのコラムでも何度か触れてきましたが、導入直前までホール関係者の期待はそれほど大きくなく、お手並み拝見といった空気感だったのは間違いないところ。しかし、ふたを開けてみればLT機はパチンコ市場において一躍人気となり、導入から十数週間ほど経過しても稼働良好な機種が幾つもあります。それとは逆に大当り確率319分の1で、以前同様の出玉性能を有したタイプは軒並み苦戦。やはりツボにはまった時の爆発力はユーザーにとって大きな魅力であることを再認識した関係者も多いと思います。

 今のパチンコ機は総じて射幸性が高いといっても過言ではありません。しかし先行したLT機のように、初当り確率は甘めでRUSH突入後にもう1つ壁を越えたら高い出玉性能に期待できる、つまり運が良ければ低予算でも大勝ちできるかもしれない…そんな期待感を感じさせてくれるものが流行っているのは間違いない気がします。

 この仮説が正しいとするならば、確率の下限を下げたマシンでもLT機開発が可能となったことで、今後登場してくる“内規緩和スペック”も支持されるのか、それが2024年下半期のパチンコシーンを占う意味で重要な役割といえます。初当り確率が低くて出玉性能も一部に偏っているとなれば、本当に勝てる人が一握りになってしまう。もう少し正確に言えば、なんにも体験できずに負ける、下位RUSHに入っても勝てない、そんなケースが多発するなかでLTに突入した人だけ大勝ちする……そんな荒さにユーザーは耐えることができるのかがポイントとなります。

 幸いなことに「e花の慶次」に関してはLT性能も高いですが、LTではないRUSH性能の期待値もそれなりにあるため、上記のような極端なことは起こらないかもしれません。しかし、やがてもっと極端なスペックのマシンも登場してくると思われます。LT機の初登場時にもこの懸念はありましたが、大当り確率の下限が199分の1ということもあり、結果的にバランスが良かったので今のLT機は流行った。果たしてさらなる荒さを市場が受け入れるのかどうか見届けたいと思います。

 さて、パチスロに関しても何かと話題の「チバリヨ2」を筆頭に、コイン単価の荒い機種が増えてきました。しかし、現在稼働絶好調の「スマスロモンキーターンV」や、一年以上もホールの主軸となっている「スマスロ北斗の拳」といった機種はそこまで荒い機種ではありません。指標は難しいですがこれらは「中射幸機」という言い方が適しているかと思います。加えてジャグラーシリーズがいまだ健在だからこそ、ヴァルヴレイヴやからくりサーカス、そしてチバリヨ2などが生きてくる。だいぶ高射幸機に寄ってきてはいますが、やはり射幸性の高低を選択できるのは大事なことなのです。

 しかしパチンコは初当り確率が319分の1だろうが99分の1だろうが、かなり荒さが近くなっているというのが現在の印象です。見た目の確率が軽いか重いかの差はあれど、期待出玉を得られるまでのトータル確率はそれほど変わらない。99分の1マシン=甘デジという概念はもはや海物語シリーズでも壊れかけており、現行のパチンコ島はほとんどが高射幸機。これではユーザーが選べるのは貸玉料くらいであり、射幸性の選択権がないのは厳しいところ。かつての海物語のようなマシンが登場してきて欲しいのですが、おそらく需要がないから出てこないのでしょうね。やはり皆さん、高射幸機が好きなんでしょう。というわけで、そこについていけない人がどんどん離脱するという構造はしばらく変わりそうにありません……。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。