2024年5月の業界動向とウワサ


 スマスロの盛り上がりをさらにブーストするため、昨今来店イベント的な催しが増えています。以前のように「取材」と称してライターやユーチューバーが来店実戦するケースや、地元の広告代理店がコンパニオン女性を「演者」として売り出し、来店する姿も多々見受けられます。

 まだまだ地域差はあって、こういったイベントを組合で禁止する地域もあるのですが、ここのところ緩和される動きが相次いでいます。いわゆる来店招致がOKになるのと同時に、来店告知もできるようになったのが拡大理由のひとつ。ひと昔前のように「今日は◯◯機種に高設定を入れます」とホール自身が告知できない現在は、こういったわかりやすいキャッチでアピールするのが手っ取り速い集客手法なのでしょう。

 また、来店招致に関して緩くなったのと同時に、いわゆる「晒し」と呼ばれる第三者を装ってホールの設定状況をSNSで告知する手法は規制対象となりました。このようなルール変更も空前の来店ブーム復活を後押ししています。

 ホールを取り巻く広告規制もまた、緩くなっては規制されてを繰り返してきた歴史があります。これだけ来店招致=事実上のイベントが増えてくると、必ずや逸脱した告知が目に余るようになり、そして規制されていく、という予測が容易に成り立つのも何だかね……。

 この業界でもAIによる技術革新が進んでおり、なんと最近はAI演者が来店するホールも出始めました。本来はライターやユーチューバーに集客能力があり、その人目当てでお客様も増えるというのが理想なんですが、実際にはそのような実力者はほんの一握り。その他大勢はただ単にホールの特定日を告知するためだけに来店している。そうなると来店するのが「人」である必要もなく、AI演者でもホールの意図がユーザーに伝わるのであれば問題ないと判断する気持ちもわかります。

 ただし、AI演者の来店に関してはその手法自体はグレー。というか正確にはルール作りが追い付いていないのが現状です。だってこれが問題ないのであれば、ホールが特定日をアピールすることがいろんな方法でできてしまいます。まあ、何であれ”演者”を呼ぶという行為を「煽り」のために使うのは問題ありなのですが、ルール通りに来店招致しているのであれば現状問題ないはず。それ以外のアピール行為がどんどん拡大していくと、先にも触れたように規制されて「全てダメ」になるのが今までの流れであります。

 いずれにせよ、もはやパチンコパチスロの集客もSNSやネットとは切り離せないものとなっています。新台導入初日に多くのユーチューバーが実戦撮影し、新台の評価を数日でアップすることも日常的となりました。もちろん多くの新台を遊技している面々なので、その評価を参考にするユーザーがいるのも理解できますが、その評価=初動の機種評価みたいな空気がネット上には散見され、多くのユーザーが実際に打たずして評価が決まっていくなんて事象も目立ちます。これもまた、AI演者が意図的に良し悪しを偏らせた評価を行うようになれば、ネット上の論調に関してもっと極端に作ることが可能となりそうです。

 特に若い世代は何でも一度ググってから行動を起こすと言われています。新機種のゲーム性もホール選びも自ら足を運んで確認する……という行動を起こす前に、ネット上で勝負が決まってしまう時代なのでしょう。それがより顕著になるのが今の流れ。AIによってますます時代は変わる……そんな事例がパチンコ業界でも多々出始めています。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。