2024年1月の業界動向とウワサ


 2024年になりました。元日に能登半島地震が起こり、石川県を中心に甚大な被害が出ております。現時点で死者が200人を超え、安否不明者もまだまだ多い状況です。甚大な被害を受けた珠洲市や輪島市は報道の通り避難者も多数。しかしながら、県庁所在地である金沢市や隣の富山県は、余震に怯えながらも一般生活を取り戻しつつあるようです。パチンコ店もそれらの地域では通常営業を再開しており、一部報道にあった天井崩落の画像が出回ったホールも、10日前後で復旧し営業開始しているとのこと。それにしても、一般景品の飲料水や生活用品の提供をはじめ、トイレの貸し出しや駐車場を一時避難場所として開放するなど、地域に寄り添い活動されたホール、その関係者の方々には頭の下がる思いです。さらなる早期回復を心からお祈り申し上げます。

 年明け早々から暗いニュースが駆け巡った2024年の始まりですが、パチンコ業界にとってはどのような1年になっていくのか。毎年恒例になりつつありますが、いくつか予想される出来事を解説していきたいと思います。

①さらなる店舗減少は免れない
 年明け~3連休明けに店舗閉鎖を告知したホールもいくつかありましたが、人件費高騰含む経費高による業績悪化を止められず、廃業するホールは今年も多いはず。さらに7月に導入される新紙幣への対応も迫られており、このタイミングで営業継続を断念するホールはかなり多いと予想されます。もうすでに営業するのはそこまでと決めているホールも少なくないようで、今年に入っての新台入替で導入機種が中古機ばかりだったり、GW前の入れ替えを行わないといった状況が見受けられたら黄色信号。閉店を決めたと噂されるホールは少なくない中で、新たにオープンするホールは数えるほどしかなく、現在のところ全国で7000店舗前後が営業中ですが、そこから一気に1000店舗程度減少しても何ら不思議ではない状況となっています。

②パチスロは完全にスマスロへとシフト
 スマスロ・スマパチの状況については、事あるごとにこのコラムでも書いてきましたが、いよいよ2024年はメダル機の新台がほぼ販売されなくなりそう。一部メーカーのメダル機がいくつかと、ジャグラーを筆頭としたノーマルタイプが発表されるのは間違いありませんが、そんなジャグラーやハナハナですらスマスロ化して登場するのはもう間もなくのようです。ノーマルタイプはスマスロだからといって出玉特性が高いわけではないので、早々に全てスマスロに入れ替えられることはないと思いますが、もしノーマルタイプでもスマスロにのみ許される”内規緩和”があれば、そこは一気に入れ替わる可能性があるでしょう。内規緩和案が議論されているのは間違いないので、早々にオールスマスロ化する日が訪れるかもしれません。

③望むは貸玉料金の値上げ
 パチンコ業界は衰退産業と言われております。事実、店舗数も減り続けているのですが、その最大の理由は客数の減少といえるでしょう。若者へのアプローチ等、個々の努力はしているものの、その流れを食い止めるのは難しい。また、遊びたいが遊技に割ける金銭的余裕がないユーザー向けの『低玉貸』も市民権を得ていますが、逆に一発勝負向けに『高玉貸』も認めていいのでは?という声も一部では上がっています。というのも、世の中は経費高騰の状況を含めて値上げが相次ぎましたが、貸玉料金は法律で定められており1玉4円。これは少なくとも30年以上は据え置かれており、次の規則改正では見直されても良いのではないでしょうか。先にも触れたように現ユーザーは身の丈にあった遊び方をしており、また依存症対策も少なからず他のギャンブル産業よりは真正面から取り組んでいます。今年はそういった議論も加速する年になるはずです。

 以上、書き連ねたように業界としては現状維持しつつも、未来への議論が加速する1年になりそう。スマスロは書いた通りですが、パチンコもまた大なり小なりスマパチ化が進むのは間違いない。ただ、どうしてもホールが購入する機種は射幸性の高いマシンになってしまい、もはやギャンブルとしての魅力はあっても遊べる機種は少なくなったというのが現状でしょう。庶民の娯楽としてのパチンコは果たしてどこへ向かうのだろうか。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。