2023年11月の業界動向とウワサ


 パチンコ業界の先を見据えた動きとして、キャッシュレス化を目論む流れもあるようです。スマート遊技機がデビューし、まずはスロットで認知された感もありますが、貸玉に関してはいまだ現金のみでの対応なのは皆様ご存じの通り。これがクレジットカードやいわゆるスマホ決済で遊技できたらどれだけ楽なことか。そこがOKとなって真のスマート化実現とも言えるわけです。

 キャッシュレス決済の実現にはどのような壁があるのか。法律的には問題ないと言われていますが、やはり業界内のルール作りは必要だと考えます。現実的に今はこのフェーズでしょうか。のめり込み対策しかり、そのルールを監督庁に認めてもらうことも大事。その辺りの交渉事は業界団体が一致団結して行うべき仕事となります。

 一説には業界内のキャッシュレス推進派と反対派は半々くらいと聞きます。パチンコ業界を斜めから見て旧態依然の考えをそのまま用いてしまうと、現金流通の方が脱税しやすいからだろう……なんて感想が聞こえてきそうですが、さすがにもうそんな時代ではありません(苦笑)。反対派の大きな意見としては、現状厳しい状況の中での新たな設備投資への懸念。この1点が主な反対理由です。それと中間手数料が業界外に出ていくことを懸念する声もあります。

 クレジットカードしかり、スマホ決済しかり、利用するにあたって手数料がかかります。この手数料を一体誰が負担するのか? この問題がひとつ。そしてそのお金は決済会社の儲けとなるわけで、これが業界外にお金(中間手数料)が出ていくという考え方です。

 手数料に関しては公営ギャンブルの例を出すと分かりやすいでしょうか。今のところ全てではありませんが公営ギャンブルの多くがカード決済できる場を提供しています。そして投票券を購入する際にユーザー側が手数料を支払うというのが一般的です。もしホールでもキャッシュレス決済が可能となったならば、同じようにユーザーから一定数の手数料が取られるようになると考えてよいでしょう。

 もし決済業者を業界団体で作ってしまうことができれば、手数料を実費のみにする、もしくは営利企業よりも安くすることが可能ではないか……金融を含めたその技術力があるのかどうか定かではないのですが、既に周辺機器メーカーはこの辺りを研究開発しているという噂もあります。

 日本国内において様々な商品決済やサービス提供の場がありますが、現金決済のみで一日遊んだ場合、貸玉料金が10万円を超える可能性があるパチンコホール。こんな環境って昨今では珍しいのも事実で、ユーザーニーズを捉えるためにも、キャッシュレス化を推進するのは(良いか悪いかは別として)時代の流れとも言えそうです。いまだATMに寄って現金おろしてホールへ出向く……もはや令和の遊びではないですね。

 後付けになりますが、ホール企業に押し迫った喫緊の課題として新紙幣対応問題があります。 2024年7月を目途に新紙幣へと変わるので、紙幣の識別機等を変更、場合によっては買い替えなくてはならず、当然ながらこれにもお金がかかります。そのタイミングでキャッシュレス化を推し進めていくならば設備投資のタイミング的にはドンピシャでしたが、そこには当然ながら間に合わず、それならば今のままでいいと考えるホールサイドの気持ちも分からなくはないです。

 こういったイノベーションが起こった時、残念ながらついていけないホール企業が出てくるのはある意味で仕方がない。がしかし、逆にチャンス!と新規参入する企業が出てくることによって業界の成長にも期待できる。スマスロ・スマパチ導入でもそのような動きに期待しましたが、コンビニ店舗のような予想された出店ケースは全国で3店舗で、その多くは既存機種との入れ替えのみ。これでは現場はシステムの入れ替えを強いられただけです。もう無駄な設備を買う余裕はホール企業には無いはず。未来に向けた動きが正常に機能することを願うばかりです。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。