2023年8月の業界動向とウワサ


 次世代遊技機として注目を集めた「スマスロ」と「スマパチ」ですが、現時点では優劣が明確についた形となっています。スマスロは確実に市民権を得ており、逆にスマパチは劣勢。お盆前に導入されたパチンコ機で最も注目された機種が、スマパチではないSANKYOの「Pフィーバー機動戦士ガンダムSEED」だったことがその最たる例とも言えるでしょう。

 スマスロはコインがない分、操作性は上がり単純に遊技性能が良くなりました。コインがないので出玉感は薄れたとも言えますが、実際のところ出玉性能はかなり高くなっており、コインがなくとも出玉感を感じさせることができています。コインレスへの移行不安を出玉性能が補完し、結果的にスマスロの地位向上に繋がったという格好です。

 さらに「スマスロ北斗の拳」の大ヒットがスマスロの認知度を押し上げたのも大きいです。遊技機単体でスリープユーザーを確実に復活させるだけのコンテンツ力を持ったものがスマスロで登場したのは、スマスロ成功を決定づけた事象であったことは間違いないでしょう。

 それとは逆に、スマパチは参入初手に登場した機種が既存機種の焼き直しで、かつ大当り確率を下限まで落とし、継続率若干アップ+スマパチで認められたc時短を利用した引き戻し機能を入れただけのゲーム性で登場。このスペックアップ(波荒性能)だけでは、パチンコ玉を使用しない出玉感を補完することは難しかった。新筐体で登場した京楽産業.の「ぱちんこ 新・必殺仕置人S」も期待以下の結果となってしまい、現状では7月に導入開始された「e花の慶次~裂 一刀両断」が何とか稼働を保っている状況です。

 これはスマパチに限ったことではありませんが、昨今のパチンコ機の性能は許される範囲のギリギリを攻めたものが目立ち、スタート性能、遊技客側の視点でいえばボーダーラインの甘い機種が多くなっています。ヘソ1個戻しが主流になったこともあってか、250玉で18回転前後がトントンラインになるものが多い印象ですね。

 それを踏まえて、現在は遊技機価格の高騰だけでなく、スマスロスマパチへと移行するためのユニット費用と工事代金が必要で、さらには電気代の値上がりも問題となっています。減少しているマーケット内の客分布は冒頭で説明した通りパチスロへと流れつつあります。そうなると、パチンコ機の調整はどうしても厳しくせざるを得ない。ゆえに18回転がボーダーラインであれば調整は15回転前後、いやホールの本音としてはもう少し厳しくして何とか利益確保したいところでしょう。ホールで適当に台を選んで遊技すれば、悲しいかなこんな低回転率の調整台しかないのが現状。そうなると勝ち負けという概念はもちろんですが、体感的な玉減りも速く遊びとして楽しめないとの声が日に日に大きくなっています。

 いまホールではこうしたことが起こっているわけで、パチンココーナーが以前よりもかなり厳しい状況になっているのです。パチンコという遊技は調整幅が目に見えて分かってしまうため、パチスロに比べて難しい部分があります。パチスロはどんなにホール側が努力をしても「設定1」以下(設定Lは除いて)はありませんが、パチンコは整備の範囲内でしか釘調整を行えないものの、やろうと思えば物理的にいくらでも締めることが可能です。これもまたパチンコ全体が負のスパイラルに陥っている構造のひとつだと言えます。

 業界人目線で見て、現状ある程度勝負できるパチンコ機は「新世紀エヴァンゲリオン~未来への咆哮~」か「P Re:ゼロから始める異世界生活 鬼がかりver.」ぐらいでしょうか。それ以外はまず厳しいと見ていい。パチスロはどの機種が勝ちやすいということは言えませんが、実質イベントを仕掛けることも増えていますので、そういう日を狙って遊技するのが得策です。また、ジャグラーシリーズが強いとか、北斗の拳やカバネリといったサミー系に力を入れているなど、ホール毎の特色もありますので、そういったことも知った上でご自身が通うホールと対峙して頂きたい。年々ホールを取り巻く環境は厳しくなっています。遊ぶ側も賢く立ち回らないと遊技の幅を超えて負けてしまうので、注意したいところですね。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。