2023年7月の業界動向とウワサ


 ここに来て内規変更の話題がいくつか出てきております。すでに確定したものから、まだまだ議論の余地あり!という眉唾ものまでありますので、ここで解説していきましょう。

 まず内規変更とはなんぞや?というお話から。規則改正については何度か当コラムでも書いてきましたので、以前からの読者なら理解していると思いますが、端的に言うと5号機から6号機に規則が変わったのが規則改正。つまり、決まりそのものを変えた根本的な法律変更です。パチンコで言えば1回の大当りで得られる最大払い出し個数が2400個から1500個に制限されたり、パチスロもまた同様、ノーマルタイプの獲得枚数が5号機に比べて3分の2程度まで削られたりしました。その他にもパチスロは試験数が増えたり、リミッターが搭載されるといったかなり厳しい取り組みが決定されています。

 規則改正という大枠が決まった後、その施行されたルールに則って機械を開発していくわけですが、細かなニュアンスの解釈や、また組合等で事前に決めた自前ルールを規則内で変更して行くのが”内規変更”となります。こちらは法律変更にはならず、あくまでも考え方・視点の違いであり、徐々に解釈の幅を広げていき機械開発の幅を広げていくというのが今までの業界の歴史でもあります。

 もちろん、メーカー関係者も所管である警察庁も、この内規変更をOKとすれば一体どのような遊技機開発が可能となるかは理解しての議論となります。よって行き過ぎた性能の機械が開発できるかどうか、それが許されるかどうかのポイントとなるわけです。

 今回、パチンコで言えば「ラッキートリガー」の搭載がOKとなりました。すでにパチンコメーカーで組織される日工組からラッキートリガーの商標登録もされており、来年中のホールデビューに向けて着々と機械開発が進められています。こちらは大当り確率が200分の1よりも甘い機械にのみ搭載可能となる新機能で、ラッキートリガーによって期待玉数の上限をアップさせることが許されるようになりました。これだけでは「なんのこっちゃ?」となる方もいるでしょうから、よく業界内で例に出される「P真・北斗無双 第3章 ジャギの逆襲」で説明したいと思います。

 ジャギ逆襲は約1/199で大当りした後、約1/3の振り分けに当選するとその後は1500個払い出しの大当りが約81%で継続するというゲーム性でした。ラッキートリガーが搭載されると大当り確率はそのままで、突入率を約1/3から約1/6へと下げる代わりに約81%の継続率を約85%程度まで上げることが可能になります。このあたりの数値はまだ仮設計の段階らしくあくまでもイメージですが、このように宝くじ機能みたいなものが搭載可能となるのです。その他にも色々なゲーム性が検討されるでしょうが、ポイントとしては”入りづらいけれども継続しやすい”というゲーム性が許されるようになりました。

 パチスロに関しては、現在スマスロが好調な滑り出しを見せているので、大きな内規変更の話は聞こえてきません。しかし、ノーマルタイプだけが取り残されているといった現状もあり、ここに何かできることはないかとの議論が分科会レベルで行われているのは事実のようです。シンプルにボーナス1回あたりの獲得枚数をアップさせるのは冒頭でも述べた通り規則変更になるため早々には難しい。そこで内規変更レベルで出来ることはないかという議論の中、いろんな話が出てきては「それは内規変更では解釈がまとまらない」といった話の繰り返しのようです。パチスロメーカーで組織される日電協のトップに北電子の小林氏が就任されたこともあり、ノーマルタイプも何とかゲーム性を盛り上げていって欲しいところ。これから議論が進むことをファンとしてもイチ業界人としても願うところであります。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。