2023年6月の業界動向とウワサ


 スマスロ、特に北斗の拳の導入でスリープ層が少しは戻った連休営業もあってか、ようやく活路を見出せたかのように見えたパチンコ業界ではありますが、その効果も徐々に薄れ始め、連休明けは閑古鳥が鳴くホールも目立つというのが現状です。瞬発的に盛り上がりを見せたとはいえ、高粗利で営業しなければならない状況には変わりなく、ユーザーが面白いと思っても負け額が大きければ何度もホールに通うことは難しい。無い袖は振れないってやつです。

 機械代の高騰、客数の減少などいくつかの要因が挙げられますが、それに加えて経費の高騰もホール経営を圧迫…ゆえに高粗利体質にならざるを得ない。ホールスタッフの求人は時給を上げてもなかなか集まらず、加えて6月からは再度の電気代値上げ。営業中に空席の機種の電源をすべて切っておくなんてことはホール営業においてできるはずもなく、節電することはかなり難しい。こういった諸々の事情がホール経営を圧迫しています。

 さらには今後スマスロ・スマパチの導入も進むでしょうから、機械代だけでなくユニットの購入費や工事費もかかってきます。ゆえに業界側の人間としてはなかなか言い辛いことなのですが、正直なところ機械を甘めに調整することは人気機種でも厳しい。逆に取れるところから取って稼いでおきたいというのが本音でしょう。

 スロットの設定は外見から分かりませんが、パチンコは見た目でも、また数千円を遊技すれば概ねの調整具合は分かります。これは個人的な体感ではありますが、連休明けはどこもかなり厳しい状況であるのは間違いない。これではユーザーが長く打てないのも仕方がないところ。

 この現状を打破するため、業界内では様々な議論がなされています。構造的な厳しい部分を変えることができないのならば、新たな道を切り開いていかなければならない。そこで1つ考えられるのが玉貸し上限のアップです。ただでさえ客数が減っており、低玉貸で遊ぶユーザーが増えているのに時代に逆行しているという意見も多々あります。しかし、世の中が値上げ一辺倒の中で、貸玉の値上げをせずに利益だけを上げるには限界があり、今まさにその限界点に来ているのではないか? というのが論点のポイントとなっています。

 戦後、サラリーマンの給与所得は上がり、比例して物価も上がっていき、それと同時にパチンコの貸玉上限も上がってきました。このコラムで経済の難しい話を私がする必要もないのですが、いまは給与所得は上がらずとも物価が上がっているのです。もはやパチンコ業界もその流れに乗ることでしか生き延びる方法はないのではないか…?

 玉貸し上限の変更は法律を変えなければいけないので、簡単にそれではやりましょうとはなりません。いま急ぎでその議論が進んだとしても数年はかかる話です。しかし、ここで議論を進めておかないといつまで経っても現状のままであり、船はどんどん沈んでいくだけです。パチンコパチスロを未来永劫楽しめるかどうかは、ここ数年の動きにかかっているはず。スペックなど機械単体の話ではなく、いよいよ構造的改革が必要となる時が来たのです。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。