2023年4月の業界動向とウワサ


 4月上旬、パチスロは北斗の拳の登場によって完全に息を吹き返しました。ついにデビューした「スマスロ北斗の拳」。発売開始とともに『初代完全復活』とキャッチコピーを掲げ、ホール関係者からの注目も絶大。実際のところ予定台数を超える注文が入ったらしく、その注目度は間違いなく6号機随一でしょう。しかし中には初代の登場時とは時代が違うといった声や、初代のようなシンプルなゲーム性を現役世代が楽しいと思うとは限らない…といったネガティブな意見もあり、そうした中でデビューを迎えたわけですが……。この原稿を書いているのは導入から2週目ですが、現在も朝イチから抽選を受けても台取りが困難なホールが全国に多々あり、稼働状況も連日盛況。立ち上げは完全に成功したと言えるでしょう。

 同機のゲーム性は新規要素も当然ありますが、基本は初代北斗と同じ遊び方。ポイントは2チェ(中段チェリー)を引けば滞在モードの良し悪しに関わらず最低でも4分の1でボーナスに当選すること。そして最低継続率が66%と発表されているので、あとは自力でボーナス継続を掴み取ればいいノーマルタイプに近い仕様。とにかく自力で何とかできると思わせてくれるところが唯一無二です。

 4号機「北斗の拳」は当時62万台もの設置台数(現存する全国津々浦々のパチスロの約半分が北斗の拳という計算が成り立つ)を誇るなど絶大な人気を博しました。ここで注目したいのは、現在40~50代のいわゆる休眠層スロッターが「初代北斗が復活するのならば一度は遊んでみたい!」と久方ぶりにホールへ向かうなど、その掘り起こしにもある程度成功している点です。TVCMには初代北斗をかなり打ち込んだと豪語している芸人コンビかまいたちを起用し、そういった層にも訴求できたことはパチンコ・パチスロ業界で久々に世間へ波及したニュースソースになりました。

 北斗の拳の稼働状況は2週目に突入しても陰りが見えません。また、他機種からの店内移動だけでなくパチスロ全体の稼働も導入前比で上がるなどパチスロ自体の盛り上がりにも繋がっています。さらに、北斗の拳を増台する予定のホールも多々あるのに加えて、4月中旬には「アナザーゴッドハーデス-解き放たれし槍撃ver.-」と「Lゴブリンスレイヤー」も導入されます。ハーデス槍撃はもちろん、ゴブリンスレイヤーもかなりデキがよく出玉性能も高い。このような流れでGWを迎えられるホールは、まさに長らく停滞していたパチスロコーナーを盛り上げる大チャンスといえますね。

 そんなパチスロ好調の煽りを食らっているのがパチンコ全般。スマスロ北斗の拳と同時期にスマパチ第1弾として登場した「e聖闘士星矢 超流星CliMAX349」は、導入初日から空き台が散見されるホールも目立ちました。もちろん出玉性能はかなり高くなっているのですが、見た目なども先行導入されているP機の焼き直しであるため、差別化が難しいことも低調の理由のひとつでしょうか。スマパチの大本命と言われる京楽産業.の「ぱちんこ 新・必殺仕置人S」が4月下旬から導入開始されるので、スマパチの本格的な評価はそこからとしておきましょう。

 これから夏にかけてスマパチ・スマスロの導入が相次ぐと思われますが、実はユニットの手配がまだ完全ではないようで、遊技機を購入したくても運用できないという状況が続きそうです。ただし、いわゆる半導体含めた部材の確保も以前に比べれば解消されてきているようなので、安定供給される日もそう遠くないはず。スマスロ北斗の拳の成功を見る限りですが、もしかしたら今年の年末には3分の1を超えて半数近くがスマパチ・スマスロに置き換わるかもしれません。それがユーザーにとってプラスに働くかどうかは、やはり休眠層の掘り起こし、そして新規顧客を少しでも取り込んでパイを拡大させるしかないのですが、果たして……。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。