2023年3月の業界動向とウワサ


 スマパチの具体的な状況が判明してきました。聖闘士星矢、ルパン三世、必殺仕置人がGW前に市場投入されますが、その中でも断トツで注目を集めているのが京楽産業.から登場する「e新必殺仕置人S」です。スマパチならではのc時短を使ったゲーム性はもちろんですが、それと合わせて話題になっているのが”ハンドル”の形状です。

 パチンコ筐体の概念を打ち破ったハンドルといえば、右に捻って玉を飛ばすハンドルから奥に捻る形状にして手首の負担を減らした”スマートハンドル”でしょう。この画期的なハンドルを初めて搭載した「新世紀エヴァンゲリオン~未来への咆哮~」は大きな話題となり、現在まで高い人気をキープし続けています。これだけ人気を博したのはもちろん機種の魅力によるところも大きいのですが、このハンドルに触ってみたいというユーザーも相当多かったはずで、遊技する動機に繋がったのは確実だと感じています。

 スマパチ「新必殺仕置人」に使用されている筐体のハンドルは、パソコンのマウスのようにハンドルの上に右手を置いて右側に捻る形状をしており、手を置いてプレイできるので長時間遊技しても疲れない作りになっています。また、操作した感触でまったく違和感がないという試打感想も多数あり、こちらも機種の魅力だけでなく、ハンドルを一度触ってみたいというユーザーから注目を集めることは間違いないでしょう。ホールデビューが楽しみでなりません!

 このように少しずつですがパチンコ・パチスロの遊び方に変化が出てきました。玉・コインに触ることなく遊技できるレギュレーションが決まり、長きに渡って右にハンドルを捻る形状が当たり前だったものが形を変える。筐体開発にはかなりのお金や時間がかかると聞きますが、この流れなら10年も経てば現行のパチンコハンドルの形状は姿を消すのではないでしょうか。電動ハンドルが登場してかれこれ60年近く経過しますが、それ以前の(手打ち式の)パチンコユーザーに「自動で玉が飛ぶハンドルが登場しますよ~」と言っても信じてもらえなかったと思います。ところが現在はそれが当たり前となったように、これから次世代の当たり前が作られていく。ようやくパチンコ業界にもイノベーションの進化が始まったのです。

 パチンコもパチスロも機械の作り自体が進化していく手応えを感じることができますが、そうした機械を扱う側であるホールサイドは今後どのように進化していくのか? 前回のコラムでも少し触れていますが、スマスロ専門のコンビニ型ホールも登場するなど、こちらも新しい動きが出始めた感があります。

 まず考えられるのは、スマパチ・スマスロの循環型筐体を活かしたシマレイアウトの大幅変更でしょう。現在のシマ構成のように一列に並べて配置しなければならない大きな理由もなくなるので、斬新なレイアウト設計のホールが登場するかもしれません。例えば、露骨なイベントは今後も開催するのが難しいと思われる中で、毎日甘い設定で遊技できる「王様シート」みたいなものを1台だけ目立つところに設置する、なんてことも可能になる。こういったことをホールサイドではすでに検討しているはずで、これならば「高設定」や「ボーダー超え」といった煽り文句などなくとも、あのシートに座ってみたいという動機で朝からの集客に繋げられると想像できます。

 このように進化し始めたパチンコ業界ではありますが、根本的なところでの改革も待たれるわけでして、それは短時間で手短に遊べる機種開発とそれに関わるルール作りです。現状ではスペック面で非常に魅力的な機械が開発できるようになり、射幸性という部分でも十分なものが市場投入されるように。端的に言えば、10万円程度の勝ち負けを体感できる機種が数多く散見されるようになりました。しかしこういった機種はある程度の遊技時間を必要とするものが多く、特にパチスロはほぼそういう作りになっています。多くの現行ユーザーや休眠ユーザーからは、1時間位の時間つぶしで(もっと射幸性を感じて)遊びたいという願望が聞こえてきます。そういった層が楽しめる機種開発が容易にできるようになれば、まだまだ遊びとしてさらなる進化を遂げるはず。その部分のルール作りを早急に進めてほしいですね。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。