2022年10月の業界動向とウワサ


 年末にかけていよいよホールデビューを迎えるスマスロ。来年春にはスマパチのデビューも控えており、一時よりは明るいニュースソースが多くなりました。約30年近く前にデビューしたCR機が今や当たり前になったことを踏まえても、やがてメダル・玉が無くなるのは間違いないでしょう。しかし、そういった時代の移り変わりや、そもそもパチンコ・パチスロの流行り廃りを含め、ここに来てホールの廃業が相次いでいます。スマスロ・スマパチはこれまでと比べるとホール営業に必要なシステムがかなり少なくなるので、新たな開業に関しては以前ほど大変ではなくなると思われます。それなのに増加していく廃業ホール…果たして現場では何が起こっているのか?触れていきたいと思います。

 まずスマスロ・スマパチについて。以前のコラムでも書いた通り、導入に際しては新しい通信システムが必須となるため、専用のサンドなど新たな機器が必要となります。現在のシマに設置できるとはいえ、それなりの設備変更を強いられるわけです。それに加えて、世界的な部材ひっ迫の状況や、設置業者不足も相まって、導入できる店舗が限られる事態となっています。こういった時にはやはり大手チェーンが有利になるわけで、つまりスマスロの出来栄えが良ければ良いほど、ホール格差も大きく広がることが予想されます。こういった現実を突きつけられすでに廃業を決めたホールもあれば、目途が立たず現状を静観しつつも半分業界に見切りをつけなければならないホール予備軍はかなりあると想像できます。

 いずれにせよ、スマスロ導入には機械代だけでなくシステムの変更も余儀なくされるわけで、サンド1本の値段はまちまちですが、そもそも変えなくて良かったはずのシステム変更を今後パチンコも含めて全台やるとなると、ホールにはかなりの負担がのしかかってくるわけです。それだけの資金を投じても商売としてリターンはあるのか、スペックは現状より上がるとしてもお客さんは戻ってくるのか、こればかりは未知数なわけで…。スマスロ導入によって現存するユーザーの満足度は上がるかもしれません。しかし、増客なくして業界の復活はかなり厳しいのです。そのあたりを含めて計算してみると、システムを新たに導入することなく、現在の玉メダル機が尽きた段階で店じまいするという考えのホールもかなりあるのでは?と予測されます。

 スマスロ・スマパチもまた遊技機であるために、ユーザーが「技」を駆使して遊ぶ立て付けの元にあります。スマパチはハンドルを握っての技術介入の余地があり、スマスロもレバーを叩いてストップボタンを押し任意でリールを止めるといった遊び方です。しかし、現在はスマホ1つでなんでもできる時代となり、また皮肉なことにコロナが後押しした形になりますが、オフィスに集まって働くという形も崩れつつあります。そういった中、パチンコ・パチスロは実店舗を構えて、そこに設置されている遊技機で遊ぶという立て付けから逃れられない。人間の行動様式も大きく変わり、ホールに人が集まるということも年々難しくなる……そういった未来が容易に想像できる中で、果たして現在のパチンコ・パチスロに未来はあるのか。そこがホール経営者にとっては難しい選択になるでしょう。

 ホールを含めたパチンコ業界団体の会議の場では「10年後どの程度の規模になっているか?」という話題になることが多々あります。そこでは概ね「無くなることはないがホール数は5000~6000店舗程度にまで減少している」なんて予想が多い。現在の店舗数で考えると2~3割減です。しかしスマスロ導入が決まってからここ数ヶ月の動きを見る限りでは、下手すれば半減してもおかしくないし、それこそメガチェーンを運営する大手法人がいくつか残るだけの可能性も出てきました。イメージで言うと、地域スーパーが減少していき、それと同時にどの地域でも大型化したショッピングモールが覇権を握るといった感じでしょうか。これもまたかねてから想像されてきた未来予想図ではありますが、確実に現実のものへと向かっている…そんなことを思う毎日であります。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。