2012年5月の業界動向とウワサ


 皆さんのGWのパチ・スロ成績はいかがでしたか? パチスロコーナーの客付きは良かったホールを多く見ましたが、パチンコは……厳しいですね。この時期、残念ながら厳しい調整が多く、パチンコはかなり露骨でした。こういった時、パチスロは優位ですよね。最低でも設定1と割り切って遊技することが可能。パチンコは締めようと思えばどこまでも締めることができる。特に昔に比べれば交換率が高く、釘はガチガチ。これでは面白い機種も楽しむ前にお金がいくらあっても、ね。

 ホールサイドはパチンココーナーをどうして行くべきか? 特に4円貸しコーナーをこのまま維持するのか、はたまたパチスロへのさらなる転換。もしくは1円パチンコへの業態替えと頭を悩ませている店長は多いはず。パチンコの規則を抜本的に変えないと、もうパチンコの復活はないのではと嘆く関係者も多い。そんな中、いよいよ封入式パチンコに動きがあるのではと一部で言われております。ここに一縷の望みを持ちたいところ。

 封入式パチンコ。業界的にはECOパチという呼称になりそうですが、このコラムではわかりやすく封入式と現在は表現します。封入式パチンコとはパチンコ玉が個々のパチンコ台の中で循環する仕組みのパチンコ台。当然、今の規則では許されない仕様なので、新しい仕組みとして今後許可を取って行くのでしょう。その時に機械基準も変えて行きたい……というのがメーカー側の本音。ギャンブル性の向上なのか、釘調整に関するところなのか。はたまたパチスロ同様、設定機能によって出玉調整を可能とするものになるのか。まだまだ細かい点は何も決まっていないはず。しかしここにパチンコの未来を見ている人も多い。

 ファンの立場で考えると、どのようなメリット・デメリットがあるのか。まずメリットとして玉積みがなくなること。玉が出た時にドル箱を積み上げるのが楽しい! という人もいるでしょうが、玉積みが必要なくなれば人件費の削減やホールオープン時の初期コストが確実に下がりますから、少なからずその分出玉で還元される可能性は高くなる。当初の設備コストだけで見れば、台の値段や新しいシステムコストが掛かる可能性はあるが、今回はメーカーが横断的に手を組んで、その後の入替費用が安くなるような仕掛けにするという話も。いずれにせよ将来的にはお金が掛からないように営業できるようになる。また設定機能が付けば、GW中のパチスロ営業じゃないですが、最低設定1と考え、出玉率の下限が目に見えてわかる。もしかしたらパチスロ同様天井機能も搭載できるかもしれない。

 逆にデメリットは少なからず初期投資にお金がかかり、青色吐息のホールは設備投資ができない。で、封入式マシンが導入できず、廃業に無理やり追い込まれる可能性が出る。そうなると大手チェーン店しか生き残れず、ホールの選択権は完全に狭まることが考えられます。ボッタクリ店が潰れるだけともいえますが、どこへ行っても同じホールばかりだとちょっと味気ない遊びになってしまう。実際そのような状況になってきていますよね。機械も大手メーカーの機械ばかりで、ホールは全国どこへ行っても同じチェーン店ばかり。スーパー業界しかり、飲食店しかり、どの業界も似通った産業構造になりつつありますが。

 実際、封入式の話がようやく表に出たばかりで、いつ何時製品になるかは誰もわからないことですが、遊技機はこうやって時代に合わせて進化していったのも事実。未来永劫パチンコ・パチスロという遊技が日本で楽しめるよう、メーカーさんには旗を振ってほしいですね。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。