2022年9月の業界動向とウワサ


 スマートパチスロ略して「スマスロ」がいよいよ始動開始となります。7月19日に行われた「スマート遊技機フォーラム」から矢継ぎ早に正式アナウンスが相次ぎ、いよいよ11月末のホール設置が確定する運びとなりました。新しい時代がいよいよそこまで迫っています。

 現時点で型式試験を通過し、年内設置が可能と言われているのは4機種。メーカーと機種名はオリンピア「Lバキ」、SANKYO「L革命機ヴァルヴレイヴ」、山佐「Lアナザーリノヘブン」、そして大本命の大都技研(パオン・ディーピー)「L HEY!エリートサラリーマン鏡」。当コラム執筆時点では出回っている情報はかなり少ないものの、事前に伝え聞いた話だと機械性能はかなり高いようで、ホール関係者の間でも一気に期待感が高まりました。

 現時点で簡易的なスペックがいくつか出ていますが、各メーカーとも強調しているポイントは出玉率を極限まで上げて発表している点です。現行6号機の中で最も設定6の出玉率が高いのは「SLOTバジリスク~甲賀忍法帖~絆2」で間違いないと思いますが、それでも112.9%といったところ。過去に発表値で114.9%という理論上最高値を記した機種はありましたが、ふたを開けてみれば110%も出ない詐欺スペックマシンだったなんてことが多々ありました。実際のところ、規定ギリギリの出玉率まで持っていくことは試験がある以上不可能とのことで、昨今は110%(機種によっては108%程度)で発表し、実際もその程度の出玉率で落ち着く機種が多かったと思います。しかし、スマスロの2機種(ヴァルヴレイヴとサラリーマン鏡)は、最高出玉率114.9%というところを強く押し出しています。高設定を使えば出玉に期待でき、なおかつ一撃出玉にも期待できるとなると、これまでの6号機では成し得なかった出玉感に期待してしまいます。

 また、出玉面でいえばMY(一撃出玉)性能は当然ながら高くなっており、6.5号機で実証済みの出玉感をさらに上回ってくるのは間違いないと思われます。しかし、実際に変わった点は有利区間が実質完全撤廃されただけとも言え、6.5号機基準とそれほど違った性能は出せないとも言われています。このあたりは果たしてメーカーが発表した数値通りに市場で動くのか、デビューしてみないとわからないところはあります。

 そして問題は設定変更した際、また据え置いた場合の出玉率の変化です。これについての発表は現時点で公にされていません。営業マンに聞いたところでも正確な情報はなく、そのあたりは現時点ではブラックボックス化しているとの噂もあります。これまたホールに設置されないとどういった挙動になるかわからないとも言われ、すべての面である程度納得している大手チェーン店から順次導入が進んでいくと予想されます。

 年内7万台の供給が可能と伝播されていますが、機械は作れても、ユニットやそれに準ずる用意が必要となるスマスロ。機械も一台60万円近くするとも言われ、設備も含めれば1台あたり100万円前後になる可能性も。さらにユニット供給が未だ読めないのに加えて、もしユニットを含めてすべて用意できたとしても、設置工事の人手が足りないなど、かなり足元はバタバタしているようです。大手チェーン店のいくつかはオープンまでの準備が整いつつあると聞きますが、いざふたを開けてみれば年内に開店できるホールはそんなに多くないかもしれません。逆に言えば、導入軒数が少なければ少ないほど、導入初期は物珍しさもあって行列が絶えない状況になるのは間違いない。多数の業界人が見学に行くことも予想されます。

 機種数も揃い出し、ユニットを含めて供給が安定しだすのは来年の春くらいになるでしょうか。それでも業界全体が部材供給の問題を常に抱えていますので、スマスロ、そしてその後に続くスマパチがたとえユーザーから支持されたとしても、導入がどのように進むかはまだ見えません。前途多難ではありますが、何はともあれデビューが決定したスマスロ4機種がどのような成績を収めるのか…初速の勢いはこの4機種のデキにかかっていると言っても過言ではないでしょう。とにかくデビューが楽しみです。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。