2021年10月の業界動向とウワサ


 前回のコラムで触れた「半導体不足」。10月になり、年末年始の新機種が出揃いつつありますが、やはり販売台数にかなり見えないところがあるようです。ホールと営業の現場では、機種自体の良し悪しが大前提でありながら、実際のところ何台供給できるのか? というのもポイントになりそうです。

 納期をずらす機種も出始めており、特にパチスロが深刻。旧規則機の撤去に伴って1月末までに約60万台の入れ替えを強いられるのですが、これだけ供給数が必要だともはや新台では間に合いません。単純に6.2号機ベースで作り直しているものも含めて、新機種のタマが少ないことと、先にも触れた通りジャグラーシリーズを筆頭に需要分を製造できないことが原因です。

 では、このままの想定で物事が進んでいくとどうなるのか? まず大前提として特例で旧規則機の設置期限が延びることはありません。ホールサイドからすれば「入れ替える機種が用意できないみたいなので、特例で設置延長を認めてほしい」が本音です。しかし、その陳情は残念ながら早々に却下されています。もちろん急転直下で判断が覆される可能性がないとは言えませんが、現状ではそのラインはなさそう。そうなると新機種の台数では賄えないことは確定しているので、一度ハズした6号機を倉庫から取り出して再設置するとか、またはべニア板などでパチスロコーナーの台数を減台しての営業となります。現状ではどちらの対応も交えての営業を考えていかなければなりません。

 現状はトータルで見ても射幸性を含めてパチンコに勢いがあり、6号機パチスロでは商売にならない節があります。であるならば、しばらくは減台して営業を続け、噂されるメダルレス機や、6.2号機で使える機種が出揃ってから再度台数を拡張するという動きが来年1月末から急激に起こることが予想されます。6.2号機に関しては一部使える機種も登場し始めていますが、これまた増産するのが難しい……いやはや、かなり八方ふさがりな状態です。

 特にパチスロの問題点は稼働のベースを支えるノーマルタイプの不振。ジャグラーシリーズの供給が追い付いていないぐらい人気とはいえ、いまだ5号機ジャグラーが設置されている中で6号機ジャグラーシリーズ1発目の「アイムジャグラーEX」が人気かと問われれば疑問符が付きます。他メーカーも同様、ユニバーサルのAプロジェクトマシンもお世辞にも客付きがいいとは言えません。

 5号機が全てなくなれば大多数のユーザーは6号機に移行すると思いますが、6号機は単価が低いゆえにどうしても低設定での誤爆は少なくなる。つまり高設定は安定して勝てる分、低設定は安定して負けるということになるので、営業機としてはなかなか扱いにくい。6.2…6.3と内規緩和は有り難いことなのですが、根本であるノーマルタイプの復活なくしてパチスロの盛り上がりは難しいかもしれませんね。

 パチンコは総出玉よりもドンドンと「速さ」競争になりつつあり、1時間継続したら4万発近く払い出す機種がいくつか出てきてます。この辺りはいつか規制対象になるかと思われますが、速さだけでなく遊タイムの有無や、C時短を使った多様なゲーム性など開発側に選択権があることが素晴らしい。当たり前ですが商品ラインナップに差をつけられますし、機種を選別するホール側もコンテンツだけでなくライバル店との差別化を図るポイントになります。パチスロもノーマル機かAT機かだけではなく、様々な角度から機種選択できるような機械作りができるように期待してます。トータルでいえばパチスロの調子がいい時のほうがホールの商売は潤うのですから。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。