2021年5月の業界動向とウワサ


 パチンコ・パチスロ産業21世紀会が旧規則機の設置期限延長を決定したと発表がありました。コロナ第4波による全国的な感染拡大や、4都府県に発令された3回目の緊急事態宣言等、諸々の事情を鑑みて業界6団体が行政当局に相談し、これが承認されたとのこと。これにより当初は2021年11月末までに完全撤去される予定だった旧基準パチンコ機、また5号機パチスロの設置期限延長が認められることとなり、年内は撤去せずに設置可能となりました。

 パチンコでは、ぱちんこCR真・北斗無双、CRスーパー海物語IN沖縄4、CR真・花の慶次2漆黒の衝撃あたりがいまだホールの主軸機種として君臨していますが、この3機種を筆頭に2022年の1月末まで設置可能。パチスロでは、ゴーゴージャグラー2が11月、マイジャグラーⅣが12月まで、マイジャグラーⅢ、ジャンキージャグラーが来年1月末まで設置可能。その他の5号機では、ディスクアップ、SLOT魔法少女まどか☆マギカ2、押忍!番長3あたりも2022年1月末までの設置期限延長が認められることに。

 ホールサイドからすれば、コロナ云々の前にまず人気のある(出玉性能が高い)機種の設置期限が延長されたことは素直に喜ばしいこと。ホール営業もコロナの影響をもろに受けているのは事実ですが、それとは別次元で射倖性が高い機種の撤去はホール営業に直撃する大問題。人気機種が撤去されない=客離れを少しでも遅らせられるのと同時に、機械の入れ替えを後ろ倒しにできるというメリットがあります。

 パチンコは出玉総量の緩和があったり、パチスロも有利区間が1500Gから3000Gへ延ばされる緩和もあり、少しでも旧規則機が長く使えるとその分だけ新たな規則で開発される機種の登場を待つことができます。ホール側からすればオリンピックの開催も不透明の中、とにかく今年1年は現行の機械を中心に営業を続けることができ、年末から来年早々には、いま発売される新台よりもスペックアップしたマシンを導入できる可能性が高くなるというわけです。

 この流れはファンも歓迎して良いでしょう。ホールサイドは無駄な出費を抑えられることが確定したので、その分を出玉で還元するところは確実に増えるはず。パチンコでいえば旧規則機をうまく使いつつ、その後のメイン機種となるであろうP大工の源さん超韋駄天、Pとある魔術の禁書目録あたりがかなり甘めで営業される可能性がぐっと高くなります。パチスロでいうならばやはり5号機でうまく利益を取りながら、6号機ジャグラーやバジリスク絆2あたりが相当甘く使われてもおかしくないはず。

 そうなると心配なのは、またしても営業的に苦戦を強いられる1年になることが予想されるメーカーです。ホールサイドからすれば、1台あたりの価格も年々上がり「メーカーはさぞ儲かっている」と思うでしょうが、会社全体を支える図体もかなり大きいため、売上が立たない状態が1年も続くとさすがに持たないところも出てくると予想されます。これは大手といえども安心できない話でして、もしかしたら今後の機種開発を止めるなんて話も聞こえてくるかもしれませんし、もしそのようなことが起これば数年後には機械の供給数が目に見えて減ってくる可能性もあります。

 そうなれば、さらに機械を大事に使って無駄な出費を抑えられるという考え方もできますが、未来を想像する歩みを止めてしまうとその時点で進歩が止まってしまうのも事実。いや、今のままのパチンコ・パチスロで良いという声があるのも事実ですし、歩みが違う方向に行くのであればそれは止めたほうがいい。しかし物作りが止まってしまうようなことがあるとするならば、もはや産業に未来はなくなります。この数年の動きを見ていれば、パチンコ産業の未来が見えてくるかもしれません。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。