2020年10月の業界動向とウワサ


 パチンコ・パチスロは常に規制され続けているというイメージが強いですが、時としてゲーム性が緩和されることもあります。その「緩和」が拡大解釈されていき、ゲーム性の向上から射幸性の向上へと繋がっていく流れが、まさにパチンコ業界の歴史とも言えるのですが、昨今厳しいと言われる遊技機の規則の中にあり、パチンコで緩和されたのが「遊タイム機能」です。

 遊タイム機能とは、時短機能の作動条件などの自由度が増したと思って頂ければわかりやすいでしょうか。これにより何ができるようになったのか。通常時一定回転数を経過すると突如時短を発動させることが可能となりました。つまり、一定回転数消化=ハマリ救済機能として時短発動というゲーム性が許されることとなり、擬似天井機能を搭載することができるようになったと認識してもらって良いでしょう。

 パチスロには以前から天井機能が搭載されており、特定ゲーム数を経過すると何かしらのボーナスが作動する機種が多く見られます。正確にはART、AT機のように小役ナビによってコインを増やすタイプにしか天井機能は搭載できませんが、天井が存在することはパチスロにとって遊技動機のひとつになっていると言っても過言ではありません。天井があれば投資が計算できるし、何より最低でも一度は大当りを体感することができるからです。

 パチンコにすれば天井機能の搭載はまさに悲願であり、時短突入(大当り確率は低確率のまま)とはいえ、時短中にまず当るだろうという時短回数の設定になっている機種も多いです。また、通常時よりも時短中に大当りを引いたほうが明らかに得になる機種も多々あります。現状先行で販売されている遊タイム搭載機にはこのような特徴があるため、そうなるとホールで目立ってくるのがハイエナ行為。ハマっている台をひたすら探し、そういった台を天井もしくは当るまで打つ。それだけで勝率が飛躍的にアップするのは間違いないからです。

 パチスロに比べてパチンコは年配客も多く、遊タイムという仕組みが浸透するまでに時間もかかる。ゆえにハイエナ行為が横行するのでは? との懸念はありました。それでもメーカーは遊タイム機能を最大限に使った機種を数多く投入。まあ、新しいゲーム性を全面に押し出すのは間違ってないですし、ユーザーもその新しい恩恵に一喜一憂しているのも事実です。

 ハイエナ行為に対しては、ホール側が露骨なハイエナ行為に注意喚起を促すといったことで対応しているようですが、ここにきてユーザー側からも遊タイム機に対してネガティブな意見が出るようになりました。これはパチスロも同様ですが、一定のゲーム数をプレイすると、もはや当るまでやめることができないといった心持ちになる。パチスロではよく言われる期待値が高いゲーム数でやめると損をするという感覚です。

 この考え方が成り立つゆえに、一定ゲーム数以上の回転数の台を打てばプラス=ハイエナ行為が成り立つわけですが、全てのパチンコユーザーが天井を見据えてプレイできるわけではありません。例えば1万円で出なければ帰るという風に、投資額を決めてプレイする人も多いはずです。しかし遊タイム機は天井機能があるゆえに、打ち始めたら当るまで打ち続けないと損をするということで敬遠するユーザーも散見されるようになりました。

 また、パチンコの時間進行の遅さもネックになっています。例えばパチスロのミリオンゴッド神々の凱旋は天井まで約1500Gで、フルで回せば2時間ちょっと。しかしパチンコの仮面ライダー轟音の場合、もし時短終了後から遊タイム作動まで打つとなると3時間は超えてくるはず。お金だけでなく、時間も大きく消費することに負担を感じるわけです。

 遊タイムの歴史はまだ始まったばかり。もちろん各メーカーこれから遊タイムの使い方を工夫してくると思いますが、せっかく許された素晴らしいゲーム性ですから、今後のパチンコ業界の救世主になるよう進化してもらいたいものです。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。