2020年9月の業界動向とウワサ


 コロナ渦において、パチンコ店を所管する警察庁は遊技機の設置期限延長を認めました。その時のコメントは以下の通り。

 「ぱちんこ等の遊技機については、平成30年2月に風営適正化法施行規則等を改正して、遊技球等の獲得性能に関する遊技機の基準、いわゆる出玉基準の見直しを行い、それに伴い、一定の経過措置期間を設けたところです。今回の改正は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、改正後の基準に沿った遊技機への入替を経過措置期間内に行うことが難しくなっており、また、入替作業に伴う感染リスクも懸念されることから、経過措置期間の1年延長を行うものです」

 こうして経過措置期間の延長が認められたわけですが、パチスロの高射幸機に限っては当初の予定通り撤去を進めていくことが組合内で決議されました。そしてある程度の台数が残っている機種の中で、大都技研の「押忍!サラリーマン番長」が8月にその期限を迎えたのですが……。

 9月に入っても未だ設置されている店舗が100店以上あり、その多くが大阪府なのですが、大阪の場合は近隣が撤去していないのならウチも……といったチキンレースのような様相も見て取れます。いずれにせよ、ホール組合での決議事項を遵守していない動きであり、SNS等では未だ設置されているホールを歓迎する旨よりも、業界のルールに従わないホールがあるぞ!といった悪い意味で話題に上がっているのが現状です。

 そのような動きに同調するかの如く、業界14団体で構成する「パチンコ・パチスロ産業21世紀会」で今年5月に決議された旧規則の取り扱いについて、メーカー各社が声を上げ始めています。メーカーによって温度差はあるものの、旧規則の取り扱いについてルールを順守していないホールに対して取引停止を匂わせる声明もあります。

 この問題の先にあるのは、現在ホールの主役として活躍するミリオンゴッド神々の凱旋、そして初代沖ドキです。ミリゴ凱旋が11月、沖ドキが12月に設置期限を迎えますが、ホールの営業方針やその後の営業継続の有無などを踏まえ、撤去せずに営業を続けるところがかなり多いのではないか?と現段階で言われています。もちろんホール個別の主義主張はあると思いますが、パチンコ業界全体で見れば行政にルール緩和してもらった分、約束はきっちり守っていきたいところ。行政と折衝する立場に近ければ近い人ほど、ここで約束を守れないような業界はこの先なにを陳情しても話すら聞いて貰えない状態になるだろう、と肩を落としています。

 業界団体としては、何としてもルールを順守して前に進めていきたい。メーカー側からすれば、近く発表される封入式マシンでさらなる緩和を求めたいところ。また、ホール側も三店方式を維持しながらパチンコ業を発展させていきたいと考えるはず。しかしコロナ渦も含め、脱落するホールも多々出てくることが予想されており、そういったホールからすれば未来のことなんて考えている場合ではなく、そのせめぎ合いがこの年末、高射幸機の撤去問題で相当浮き彫りになるはず。また、一般マスコミが上辺だけ取り上げてパチンコ業界を悪しき集団と報道するのも厄介な問題となります。

 全国6000店舗以上に設置されているミリオンゴッド神々の凱旋を販売したユニバーサルグループからは、期待されている代替機ハーデスの最新作の案内が未だありません。代わりの機械が無いとなると、それを言い訳にして「入替したくてもできない」と言うところも出てくるでしょう。しかしそれとこれとは別の問題であり、未来永劫……いや20年後にパチンコ業界が存続しているか否かは、今回の対応次第で決まっていくのではないか、と業界内にいる人間としては肌で感じています。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。