2020年4月の業界動向とウワサ


 本原稿を書いている現在、政府の緊急事態宣言を受けて、東京都知事が週末からの休業実施を要請する対象業種を発表する会見が行われている。パチンコ店はゲームセンターや映画館と同じようにその休業要請の対象となりました。元々、国から7都道府県に緊急事態宣言が発令されたのを受けて、その翌日から大手チェーン店を中心に休業している店舗は3~4割程度あったのですが、休業補償について国と各自治体との連携に時間がかかり、すぐさま「補償されないならば営業もやむなし」という空気が出回りはじめていたのが現実。しかし報道を見る限り東京都は独自の補償措置を含め、国よりも明確に基準を提示し、緊急要請を行ったところです。

 この決定を受けて、とある都内ホール関係者は「従うことになると思う」との見解を示し、ほぼ都内全域のホールは営業自粛することになりそう。また、隣接する他県や大阪府を中心とした関西圏も日々情勢が変わっており、明確に休業要請が出れば世論含めて自粛することになるというのが現時点での予測。そもそもゆっくりパチンコ・パチスロに興じてなんかいられないというのが、緊急事態宣言を受けた国民の総意であるだろうから、お店を開けたところで稼働状況はかなり厳しいはず。それでも商売というのはお店を開けなければ売り上げゼロ。利益ゼロ。どの業種もそうですが、こういった時に休業と補償とはセットだろうと言いたくなる気持ちは分かります。

 2月頭を起点にすると、3月下旬までの6~7週間で、パチンコは5割、パチスロは3割の稼働減となっています。これに休業しているホールはゼロ稼働となるため、ホールの客入りは文字通り半減している状況です。また稼働と売上はリンクするので、売上も半減。利益だけは出率調整で変わってくるため半減ではありませんが、打ちに行ったところで還元される可能性は低いので結果的に客足は遠のくという理屈が成り立ちます。ここに旧基準機の入れ替え問題等が絡んでくるので、戦後発展したパチンコ業が今後存続できるかどうかの年になることは残念ながら間違いないでしょう……。

 ユーザーが直面する問題としては、貯玉の扱いがどうなるか。貯玉自体はセーフティネットがあるので、今現在は当該ホールが潰れても補償されます。しかし特殊景品に変えられるかどうかは難しいところで、いわゆる一般景品に変えられるということだけは保証されていると認識しておけばいいでしょう。

 メーカーの動きですが、原則停止しつつあります。まず機械販売の現場とすれば、仮に商品があっても販売先のホールが人との接触を極力抑えている法人が多く、正直なところ営業活動が成り立たない状況です。また、数ヶ月先のホール営業がどうなっているか現時点では予想することが困難なため「機械を買えない!」という判断を下すことが多くなります。つまり営業できないし、売れないという八方塞がり。

 開発部門に関しては粛々と動かせるところは動かしているようですが、某メーカーの開発フロアからウィルス感染者が出たという報道があったように、こちらも様々なことから予定通りに物事は進まなくなるでしょう。現状では保通協は動いているので、機械開発をして許可を取るところまでは進めることができますが、それに携わる人員の問題はやはり影響が出ます。また、いわゆるリモートワークでは開発現場が進まないところも多いようです。

 パチンコ・パチスロは娯楽産業ゆえに不要不急でないことは理解できます。だからと言って産業としての成り立ちを否定されることは(ちゃんとルールを守っているのならば)間違いではあります。今は各都道府県や国の総意のもと、営業を自粛するなどしてウィルスの広がりを抑える行動に協力すべきです。しかし、その先には補償の問題と業界としての特例をしっかり話し合い、産業として前に進めるようにしていかないとこの困難は正直乗り越えられないでしょう。ユーザー個人としても、パチンコ・パチスロが好きというのならば色々な声の上げ方はあります。この業界が間違っていない動きをするならば、応援して欲しいと思います。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。