2020年3月の業界動向とウワサ


 新型コロナウイルスの報道が激化したのは2月頭にクルーズ船が横浜港近くに停泊したくらいからでしょうか。それまでは中国で蔓延している肺炎を伴うウイスルという扱いであり、まだ対応するワクチンがないという怖さはありましたが、日本では感染者も少なく対岸の火事であったと言えます。実際、日本政府が春節を利用して訪れる中国人観光客を取り込みたかったのかは分かりませんが、渡航制限などを設けるような空気はその段階では全くと言っていいほどありませんでした。

 しかし3月に突入すると、北海道が最も感染者が多く出ておりその他都道府県でも連日患者が増えているような状況。政府は中韓伊からの渡航制限を設け、国内のイベント等に対しても事実上の自粛要請を出しています。

 新型コロナウイルスは「不特定多数」の方が「換気の悪い空間」で「濃厚接触」することで感染しやすいとされています。3月中旬現在では、ライブハウスが感染の元として連日報道されています。しかし、パチンコ店がやり玉に上がったことは今のところありません。比較的早い段階で感染者がパチンコ店で遊んでいたという事実が保健所から伝えられると、すぐに店舗を休業して除菌。その後も同様の流れで一時休業したホールは1店舗あったものの、現時点ではそれだけです。また、北海道で緊急事態宣言が発令された際、その週末に2チェーン店が一時休業しましたが、それ以降は1〜2時間程度の時短営業を自主的にしているのみで、他の都道府県では広告自粛以外には通常営業を保てている状態です。

 このように自粛を求められる時には、何かとやり玉に挙げられることが多いパチンコ業界ですが、現時点では営業を自粛せざるを得ない状況まで追い詰められてはいません。もちろん国会等でもこれ以上のウイルス拡大を防ぐためにパチンコ店にも営業自粛を政府から投げかけた方がいいのではないか?という討論もあったようですが、議論はそこ止まりで終わっています。確かにパチンコ店は狭い空間に大勢の人が集まっているものの、換気が比較的しっかりしており、パチンコ・パチスロに興じているために喋ることもほぼない。よって感染しにくい場所ではないかと言う人もいます。実際のところどうなのかはわかりませんが、現時点で感染元になっていないという事実だけはお伝えしておきます。

 パチンコ業界で最もコロナウイルスの影響を受けているのは、営業しているホールではなくメーカーと言われています。というのも、金型を含めた生産や、部材はほぼ中国の工場抜きには完成しないわけで、中国の工場がストップした時点で新台の納期が見えなくなったところは多数あります。5月GW開けから導入される予定だった6号機ジャグラーも予定台数よりも作れないという話もあれば、沖ドキ2導入時に必要な30パイコインが手に入らず、なくなく沖ドキ2の導入を見送ったなんてこともあるようです。また本来5〜6月に発売予定だった機種を夏以降にリスケしたところも多いとか。

 そのような状況の中、意外な点で注目されているのが、パチンコ店でマスクをゲットできるという話。もちろん全てのパチンコ店がそのような状況ではないものの、3月になってマスクの高額転売が問題になっている時でも、一部のホールでは景品にマスクが置かれていたのは事実。実際には会員限定で1枚のみというところが多かったようですが、元々タバコの煙対策としてサービスで渡していた流れをそのまま続けるホールもあり、連日マスクだけを獲得しにいくユーザーもいたようです。また、トイレットペーパーに関しても、いまだ景品コーナーに並べているところは多々ありますね。

 どういうことがあろうとも世間が自粛ムードの時にパチンコ店へ遊びに行くというと嫌な顔をする人も多いでしょう。早く大手を振って遊びにいける状況になることを日本国民としても願いたいですね。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。