2019年2月の業界動向とウワサ


 2019年に入り、本来ならばパチスロのいわゆる高射幸機は段階的に台数を減らしていくことが業界内では決定されていました。1月末の段階で店内30%から15%へ設置比率をダウンさせる予定でしたが、6号機の適合が遅れていることを理由にリスケを決行。これは規則ではなく自粛案だったので、リスケすることに問題はありません(ただし3年間の検定が切れたら無条件で撤去しないとなりません)。ホールにとってドル箱マシンが延命したことはプラスに間違いないが(ファンにとっても名機が残存するので喜ばしいことではあるが)、逆に言えば段階的にではなく一斉に撤去する時期がやってくるということ。それが今年の年末あたりなんです。

 そういう現実もあり、実際にはGW明けあたりから段階的に入れ替えが進んでいくと予想されますが、業界内ではそう簡単に行かないとも言われています。6号機のヒット機種がでないから? もちろん理由としてそれもあるのですが、今年から来年にかけて日本という国にビッグイベントが多すぎるのです。国のイベントとパチンコ業界の入れ替えにどのような関係があるのか、それを説明していきましょう。

 パチンコ業界の管轄省庁は警察庁です。これはちょっと詳しいファンならばご存じかと思います。ホールの機械入れ替えは、地域の各都道府県の警察の許可を得て行われています。メーカーは保通協を通じて型式試験を行い無事に許可が下りれば、各都道府県公安委員会の認定を受けます。ホールが購入した機械が認定通りのものかを所轄にチェックしてもらい営業許可が下りるという仕組みです。

 そのように毎回入れ替えの時には立ち入りチェックが行われているのですが、国の行事がある時には警察総出で警備にあたらないとならない場合があります。例えば来年開催される東京オリンピック。東京近郊でオリンピックが行われるからといって、北海道や沖縄など遠方の警察署がヒマかと言えば、やはり応援に出向くはず。つまり全国の警察官総出の仕事となるのです。このように国の大きなイベント事がある→警察官が警備等で駆り出される→入れ替えの検査立ち合いに行く時間が取れない(取りづらい)→各都道府県の組合と相談して入れ替えの自粛を行う。ということがたびたび起こります。

 それでは2019年にどのようなイベントがあるのでしょうか。まず6月にはG20が行われます。こちらは世界各国の大臣クラスが集まるため警備に相当人員が割かれると予想されます。そして天皇の生前即位、さらにはラグビーワールドカップと今年は大がかりな警備必須のイベントが目白押しなのです。どれも国の権威をかけた催しであり、そもそも道路の封鎖等も辞さないレベルの一大イベント。その警備に人を取られるとなるとやはり入れ替え自粛は避けられないのでは? と言われています。

 現時点では入れ替え自粛の話は決定ではありません。ただし過去の事例を見るとそうなることが多々予想されます。そうなるとメーカー側も入れ替えできる時期に新機種を出してくることが考えられます。冒頭で触れたように、ホールサイドも高射幸機を残せば残すほどその際に入れ替える台数が多くなることをすでに試算しているはず。その時に多台数で入れ替えられる機種があるかどうかは分かりません。また、メーカー側の生産能力も気になるところです。

 楽観論とすれば、入れ替えができないのだからさらなる高射幸機の延命ができるのではないか? なんて話もありますが、それに期待するのは危険です。恐らくいっぺんに入れ替えできないから廃業に追い込まれるというホールも出てくるでしょうね。2019年の年末に向けてホール数が大きく減ることは残念ながら間違いない……か。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。