2018年3月の業界動向とウワサ


 パチンコ業界では「射幸性」や「エログロ規制」等、様々な決め事が規制強化されつつあります。これは社会にとってパチンコ・パチスロが遊技という位置づけである以上当然とも言えるのですが、これらの規制が「その時々の情勢」と大きく関わって、以前は良かったのに現在はダメという、一本軸がないところが関係者を困惑させることが多いです。

 もちろん射幸性のような大きく業界に関わることは、今回の規則改正のように一般社会にも意見を投げかけ、最終的に決められた手続きを持って決定するプロセスを得ています。それでも今回の射幸性を概ね3分の2にするという方針は「なぜ3分の2なのか」に対する具体的な根拠はありません。行き過ぎと判断された射幸性をカットするという目的だけで、数値に置き換えたと言っても過言ではないと思います。

 そのような根本論がないから、それでは内規をどうして行きましょうか?との議論が規則改正の後からされることになり、さすがに3分の2まで出玉を制限し試験方法も厳しくなったのだから、内規を撤廃して少しでもゲーム性の幅を広げることを事実上容認してもらったわけです。内規撤廃で射幸性が高くなるわけではありませんが、このように考え方を変えていけばレギュレーションはまた変わっていくものです。

 エログロ規制はもっと難しい。液晶画面を搭載した機械は今や当たり前となっており、市場に投入される9割近くの機械は液晶機=既存版権を取り入れた機械作りをしています。その方が既存のファンが遊技してくれる可能性もあり、また液晶画面のストーリーも作りやすい。しかし現在のアニメはお色気シーンを取り入れたものも多く、そういった表現で人気を獲得しているアニメも少なくありません。

 元々、パチンコ・パチスロは18歳以上が楽しめる遊びであるため、そういった表現もある程度は許されていいはずです。しかし、ここでもまた過度なエログロ表現は控えるようにとのお達しがここ数年メーカー側に通達されています。実際に表現が過激すぎて検査に落ちたマシンも存在します。

 表現の問題は線引きが非常に難しい。ファン側には「どんな内容のものがNGだったか」はわかりません。しかし逆を言えば「この内容でエログロには引っかからないの?」というマシンはホールに設置されていたりします。例えば大手AVメーカーとタイアップした豊丸産業のパチンコ機。ビデオのように局部が出てくることは絶対にないですが、際どい水着を着たセクシー女優さんがビデオ内と同じような表情をして打ち手を欲情させている……これはセーフなのです。

 もっとびっくりしたのが間もなくホール導入されるSANKYOの「CRフィーバーR-18」。その機種名からも雰囲気を感じ取れると思いますが、副題が大人のパチンコなんです。液晶演出にはフェチ映像を多数使用しており、直接的な表現はないものの、かなり際どいシーンが盛り込まれています。これもまた直接的でなければエログロ規制には触れないということなのか。一般的な感覚で遊技すれば、こちらのほうが間違いなくエロい!はずなのに……。

 まあ、このように規則・規制があっても「●はダメなのか……では、▲はダメと書いていないからセーフなんですね」という解釈方法だとイタチごっこになってしまう典型的な例だと思います。射幸性のような人によって解釈が違うものに関しては、大きな括りで概念論から入るのではなく、細かな部分を決めて行く時代にもう突入しているのだから、いち早くそういった機関機能を持った組織を立ち上げて監督官庁との関係強化をしていってもらいたい。広告規制に関してもそうです。どこまで良くてどこがダメなのかのラインが曖昧だから隙間ができる。そうなると現状のようにやったもの勝ち(攻めたもの勝ち)という状況がまかり通ってしまうんですから。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。