2017年11月の業界動向とウワサ


 このコラムでも、釘問題から規則改正に至るまで行政絡みの動きを中心に読者の皆様にお伝えしてきました。それはそういった問題が機械作りや設置期間に影響を与え、エンドユーザーにも影響を及ぼすからです。今後出てくる新台はスペックダウンが免れない。また、設置中の機械も一定の期間は使って良いという猶予が明確になりましたが、それ以降は設置することが困難となったこともお伝えしました。その結果どんなことが起こっているか? まずホール側は現行の機械をきっちり揃え、使えるものは設置期限ギリギリまで使おうという動きがあります。最近やけに懐かしい機械の再設置が多いな〜と感じている方も少なくないと思いますが、バックボーンとして一連の流れがあるからです。

 そういった流れの中で、新台販売がかなり苦戦しています。年末商戦の時期にあって、本来ならパチンコもパチスロも目玉機種が各メーカーから発表され、派手な販売台数を目論むタイトルも出てきます。しかし今年は、1タイトル以外かなり苦戦しているようです。

 唯一販売台数が好調なのが「CR大海物語4」。もちろん以前のように何十万台という販売台数は難しいですが、予定台数に向けて上々の滑り出しを見せています。というのも、今後パチンコのスペックダウンも免れない中、やはり海物語を最低限抑えておきたいというホール心理があります。また、もう一点の理由として前作「沖海4」の部品が間もなく欠品になるということも。沖海4が壊れた場合、直せない可能性がある……これに対応せねばならないのですが、部品がないことにはどうしようもない。ということで、大海物語4の購入を決定しなくてはならない背景もあるようです。

 大海物語4のスペックは、通常図柄だと出玉が多く、確変図柄にはちょっとした出玉の振り分けがあるものの、総じてオーソドックスな確変ループタイプ。演出面は大幅にグレードアップされているが、それが逆に海シリーズを短命にしている理由でもあるような気もするのですが……。

 前作から大きく販売台数を落としそうなのが「CR真・花の慶次2」。ラッシュ中はALL2000発出玉をキープしているものの、転落タイプで確変中の大当り確率もかなり低い。試験対策もあるのでしょうが、相当ダラダラした展開になるスペックと予測されており、そこが低評価の理由でもあります。また、転落抽選タイプというのもマイナス要因のひとつで、目標台数の80000台に向けて相当苦労していると聞きます。最終的にどこまで台数を積み上げられるのか注目です。

 年明け納品になりましたが、SANKYOの「フィーバー機動戦士Zガンダム」も大型版権を引っさげての登場です。V確変を採用し確変中の50%近くは2400発をキープした、現行機の中では激しいスペックを搭載していますが、ガンダムシリーズがあまりヒットしていないだけに台数はやはり伸びないか……。

 というようにパチンコは消去法に近い形で大海物語4が売れている状況ですが、パチスロはもっと悲惨で……。年内に一番売れているタイトルはユニバーサルの「SLOT魔法少女まどか☆マギカA」になると思いますが、これが何とか10000台に届くかどうか。その他のメーカーからもノーマルタイプがいくつか発表されていますが、どれも売れても3000台程度と言われています。5.9号機市場では今後、ART機のスペックダウンが予想されており、その先を見越して各メーカーからノーマルタイプの発表が続くだろうと予測されます。しかしホールサイドからすれば、ジャグラーシリーズを筆頭に花火・バーサスが顕在するノーマルタイプ市場はバラエティ程度の導入で十分。よって新台でも5000台売れれば御の字という市場感が今後は続くことでしょう。パチスロを販売するメーカーにとっては受難の時です。

 とにかく現行機を使えるだけ使い、新台はバラエティにちょこっと。来年はこの入れ替えパターンが主流となってくるハズです。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。