2017年8月の業界動向とウワサ


 年々パチンコ・パチスロ機は進化を遂げており、先日東京ビッグサイトで開催された「ユニバカ×サミフェス2107」では、未来に向けたコンセプト機が多数発表されて大いに盛り上がったとのこと。実際には現行の規則では実現不可能のようですが、いずれにせよハード面での進化は今後も進んでいくことでしょう。

 我々が現実にホールで体感できるという意味では、ぱちんこ必殺仕事人Ⅴや牙狼GOLD STORM翔の筐体は凄いです。WEBサイト上でも話題になっていますが、あれだけ派手で液晶画面も大きいのでまず重い。計測すると50キロ近くあるようで、一人で持ちかかえることは不可能。そして、遊技中にどこを見ていれば良いのか分からなくなるくらい液晶画面が大きく、あっちこっちで演出が繰り広げられています。残念ながら、そういった派手さと反比例するように出玉面での規制は強くなる一方ですが、しばらくはその分を派手な演出で補うしかないのでしょうか。

 パチスロも当然ながらハードの進化は進むのでしょうが、規制強化の関係でしばらくは原点回帰の流れが続くのは間違いないです。というのも前回のコラムで6号機の試験基準について簡単に触れましたが、この試験基準を紐解いていくとART機の性能云々を語る以前に、現行のノーマルタイプですら開発できなくなります。ジャグラーやハナハナシリーズに代表されるように、現行のノーマルタイプはビッグボーナスで312枚獲得できますが、これが事実上不可能となってしまうのです。

 これにより現在各メーカーは夏休み返上で、5.9号機仕様でノーマルタイプの開発を進めており、なんとかギリギリまで販売できる機種の数を増やしておこうと躍起になっているようです。メーカー関係者曰く、申請予約が立て込んでいて型式試験すら受けることのできない機種が多数ある状況らしく、しかもそのほとんどがノーマルタイプではないか?とのこと。

 元々5.9号機仕様のART機に関しては、ART確率に設定差を付けられないことや、3000枚リミッターも搭載されることなどからホールサイドも期待していませんでした。しかし、その先の6号機仕様ではノーマルタイプまでもスペックダウンするのが確定的なので、この秋以降はどのホールもノーマルタイプを増台し、少なくとも3年間は現行基準のマシンで営業できるようにシマ構成を揃えてくることでしょう。高射倖機に関しては、年明けには設置比率を30%以内に収めなければならず、またその先には全撤去しないとならない可能性もあります。その時になって焦るよりも、ノーマルタイプ比率を増やし安定したシマ構成にしておくという流れは絶対にトレンドとなるはずです。

 もしそのような流れになれば、ユーザーにとっては悪い話ではないと思います。まず3年間は新台入替が少なくなりますが、機械代金(入替費用)が掛からないわけですから、その分の経費が浮くことになります。もちろん客数が減ったり単価も落ちて利益も減りますので、単純に入替経費減=出玉還元増という感じには反映されないかもしれませんが、還元しやすい状況に自然と向かうことになる可能性は大いにあると思います。逆にメーカーや我々販社は死活問題となりますが、一度業界内を整理するという意味では良いのかもしれないですね。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。