2017年7月の業界動向とウワサ


 7月10日、皆様も新聞・ニュース・ネット等で目にされたと思いますが、風俗営業法施行規則の改正案がまとまり、来年の2月1日の施行を目指して正式に動き出しました。監督官庁は広く意見を募るとのことですが、よほど世論が働きかけない限り、この規則改正案が施行されることになるでしょう。

 今回はカジノ解禁と、それに紐付いて議論されている依存症対策を盾に規則改正案が施行された流れとなっています。よって来年2月以降に基準化される機械性能は、ギャンブル性という観点ではかなり抑えられたものとなります。概ね現行の3分の2に規制されると報道されていますが、現行ファンにとっては深刻といえる内容を1つずつ紐解いていきましょう。

 まず、大当り1回あたりの出玉が規制されました。現行ではパチンコであれば16ラウンド×15個賞球×10カウントで2400個の払い出しが可能でしたが、規則改正後は1500個となります。これは最大継続ラウンドが10ラウンドとなるためです。

 パチスロはもっと厳しく、ボーナスの払い出し上限が480枚から300枚へと変更されました。300枚というのは“払い出し“のことですから、仮にボーナス中2枚掛け15枚払い出しと仮定しても、260枚前後の獲得枚数がMAXとなります。現行機に当てはめても意味ないのですが、例えばクランキーセレブレーションのベースが高い仕様くらいが開発できる限界値になると規則からは読み取れます。

 もう一点、打ち手には分かりづらいですが、型式試験における中時間試験が新たに採用されることになりました。今までは“短・中・長“という言い方をしていたので混乱してしまいますが、短・中の間に新しい「中」ができる感じです。具体的な数値で説明すると、パチスロの場合はこれまで400Gで出玉率300%以下、6000Gで150%以下、17500Gで55〜120%と試験時の出玉率(書類・出玉試験共に)が決まっていましたが、この数値が改正され、400Gでは33〜220%、6000Gでは50〜126%、17500Gでは60〜115%、これに1600Gで40〜150%が加えられました。

 これによって何が厳しくなるのか? 出玉率の上限を抑えられていますので、高設定域の出玉率が抑えられてしまうというのは当然のことですが、これだけの数値をくぐり抜けなければ試験を通らないのであれば、単純に暴れる機械は通らないということになります。つまり、出る台はダラダラと出るようなスペックになり、出ない台はダラダラと負けるということです。まさに射幸性=偶然による獲得を抑えるための試験基準であり、この数値をまともに捉えるとかなり厳しいスペックしか市場に並ばなくなると言えます。

 パチンコは新たに設定機能が搭載可能となったとはいえ、パチスロになぞらえて考えればこれまた厳しい。細かい数値は割愛しますが、実射試験内に抑えるならば、当たりの幅を大きく作ることは不可能だからです。ただしパチンコは釘調整という部分で大きく躓いた経緯があるので、釘を触らずとも調整可能というお膳立てはしてもらえたということでしょうか。業界(=機械メーカー)にとっては、この部分だけがアメと言えるのだろうか……。

 このような動きを見据えて、ホールは現行機種の中で3年近く使えるものから順に選び、3年間を凌ぐ機械選定を年末まで行うはずです。打ち手はまずその動きを敏感に捉えて、美味しい時期をきっちり満喫することが第一でしょう。来年以降はメーカーが販売する新規則のマシンをホールがどう評価するのか? それによって対応も異なってくると思います。いずれにせよ、現在あるマシンは検定が残っている限りはそのまま使っても良いと文面に書かれていますので、目の前にあるマシンが即時撤去されるということはなくなりました。しかし、逆にどれだけ長くても3年未満で全てなくなってしまうので、楽しむならば現在しかないとも言えますね……。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。