2017年4月の業界動向とウワサ


 4月に入り、パチンコの新台導入時に「くぎ確認シート」なるものが付いてくるようになりました。これは試験時の調整が一目瞭然でわかるようになっており、ホール側が調整するとわかるようになる代物です。メーカーサイドからすれば、釘問題をよりクリアにするため導入した制度となります。また、調整をした場合は当然ホール側が罰せられるので、メーカー側の製造リスクをなくすためにできたものとも言えます。本来ならば釘は触ってはいけないものなのですよ、と。

 実際、整備の範囲で釘を触るには触るのでしょうが、調整は今後できなくなります。実際とあるホールでは「釘調整を行うことは違法行為になるのでやりたくありません」とオーナーに直訴してきた店長さんがいたとか。確かに利益調整をするために日頃行っていた釘整備がいきなり違法行為と言われるようになってしまったのだから、現場も慌てることでしょう。

 そうなるとホールサイドは釘整備をほぼしなくなるワケでして、某データを見ているとその弊害がすでに出ているのがよくわかります。設置台数は少ないですが、連日赤字営業となっている機械があることをご存じでしょうか? それはマルホンから登場した「CR沖7」。あのパチスロ沖ドキを完全オマージュしたマシンで、約3000台があっという間に完売したと聞きます。このマシン、なんと導入からほぼ毎日赤字営業なのだとか。スペック的には極限まで連チャン率を高めたST機なのですが、特段ルールを破っているわけではなく、常識的な出玉性能のマシンです。

 それではなぜ赤字なのか? ボーダーラインがそこまで辛くないこともあるのですが、こいつは元のゲージ構成が甘いのです。つまり調整しなければ最低限回ってしまう。だから赤字になる。パチンコの基本中の基本ですね。メーカーサイドからすれば、ベースは甘めに作っておいて、調整してもらおうとの考えだったと思いますが、時代がそうはさせてくれませんでした。整備の範囲ではどうしても回ってしまうのでしょう。だから赤字が続いてしまう。締めるには調整が必要ですが、4月以前の導入機種なので「くぎ確認シート」は無いにしても、やはり調整することは現場ではもう難しいのでしょう。

 くぎ確認シートは、組合で近々に内容が決まり運用が始まったと聞いてます。それが本当ならば、しばらくの間、出玉率が高めの機械は締めきれず赤字運用を免れないという現象が起きてもおかくしくない。打ち手からすればこういった制度の変化が起こるときに、隙を突くことで思わぬ勝利が舞い込んでくる可能性があります。特にベース部分が思った以上に閉まらなくて……というマシンは、試打をしている限りいくつかあるような気が(汗)。実際、その機種を発売しているメーカーに「開発想定の市場出玉率は?」と聞くと、104%との返答が。実は今まで100%を超えるのは普通のことで調整により何とかしていたのが……これからは表だって調整できなくなる。厳格な地域、厳格なホールほど甘い機種にはしばらく手を焼くはずです。逆を言えば、打ち手のチャンス!

 この後、パチンコはさらなる出玉規制が行われると言われていますが、パチスロもかなり厳しい状況です。GODシリーズならば……と、期待したポセイドンも他の新基準機同様すぐに閑古鳥が鳴いてしまい、押忍!番長3が華々しいデビューを飾ったものの、どこまで稼働が持つかは未知数。増台に鼻息荒い法人もあるようですが、抱き合わせの機械まで買って導入が必要かどうかはもうちょっと様子を見ないと何とも言えない……かな? 5.9号機に移行するまでに、サミーからはもう一発「北斗の拳シリーズ」が登場するようですが、ホールさんの反応はあまり良くなく……。

 ただし、国会で旧基準パチスロ(いわゆる高射幸機)の問題が出始めているので、それらが強制的に撤去させられるような事態になれば、消去法により番長3を筆頭にポセイドンあたりも復活する可能性はあります。そういった行政対応を見極めながら、新台購入および中古機の仕入れをしなければならないので、なかなか難しい時代に突入したといえますね。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。