2016年9月の業界動向とウワサ


 我々機械販売業者は、何も新台だけ売って商売しているわけではありません。中古機の売買もまた仕事の一つなのです。パチンコ業者だけしか閲覧できないものの、インターネットで常に値段の変動をウォッチでき、その金額は業界動向、機械の良し悪し、流通の量によって変動します。完全に株の世界と同じで、だからこそ新台以上に目利きの力量が試されます。

 このところ特に変動が大きいのはパチスロ。基準が変わったことや、新台の調子が軒並み悪い影響を受けて、旧基準のマシンの価値が高まっています。このコラムでも書いたことがあると思いますが、その筆頭がバジリスク絆。その金額は現在200万オーバー。それでも毎月300台程度の流通があります。

 間もなく新台販売から3年が経過するバジリスク絆。導入当初から稼働状況は悪くなかったのですが、それでも約1年前までは絶対的エースというマシンではなく、中古価格も定価(約40万円)を下回る値段しかつかない時期もありました。

 しかし時間が経つにつれ、基準も変わり、また設定を入れれば比較的安定して出ることも知れ渡るようになると「勝てる機種」としての認知も上がり、新店・リニューアル店を中心にメインコースで扱う機種へと立ち位置を変えてきました。そうなるとまとまった台数が必要になるわけで、我々機械業者はバジリスク絆の台数を集めるのに躍起になった時期がつい最近まで続いたのです。

 この1年の間、バジリスク絆の値段はどんどん上がっていったのですが、その裏には常に爆裂機撤去の問題もあり、度々「近いうちに撤去しなければならない」というネガティブな情報も流れたりしました。そうなると逆に値段が下がり、冒頭にも書いた通り、まさに株価のように値段が変動してきたわけです。

 それがここに来て過去最高値とも言える高値をつけている。その理由はメーカー側が一定の条件をクリアすれば再認定を行うと発表したからです。再認定とは新たに3年間の保証を行うということであり、保証書が出れば部品交換もできるし、ホール間の移動も可能となります。もし再認定されなければ、保証がない状態で機械を使うこととなり、故障したら修理はできない=撤去しなければならないし、他店への移動もできなくなります。よって再認定されるか否かは、ホールはもちろん、我々機械販売業者にとっても注目の案件でした。

 それでも爆裂機(一定の基準でリスト化されたマシン)リストのマシンは、やがて撤去するという方向で話がまとまるでしょう。重要なのはそれがいつ頃になるのかということですが…。現在はパチンコ釘問題を片付けることが先決であり、この問題は年が明けてもなお続くはず。1・2次リストに名前が上がっている機械も、期限が来たのにほんの数軒ではありますがまだ撤去されておらず、それを鑑みると年末が期限となる牙狼を中心としたMAXタイプが全てキレイに外れるとは思えない。パチスロはそれらの問題が整理されるまでは…。

 まあなんだかんだ言っても、結局パチスロも先行き不透明。だから現在人気がありしかもスペックが旧基準のマシンを導入し、ダメと言われるまで使いたいのがホールの本音です。打ち手だって勝負したい時には出玉性能に優れたマシンを選ぶのは当然のこと。そうしている間にメーカーが機械作りに熟れてきて、現在の基準でも「楽しい!」と思えるような機械を発表してくれればうまく市場が回ります。そうなるまでの期間は絶対に欲しいですね。

 4号機から5号機に移行した時には、パチスロ島は一度死にました。まともに使える機械はアイムジャグラーしかなく、パチスロ島を減台してなんとか凌いだのです。同時にパチンコのギャンブル性は上がり、初代牙狼を代表とするV確変タイプが台頭。これにホールは救われたわけです。しかし今はパチンコがどこまで落ち込むかわからない。パチスロも使える新台が見あたらない。ホールがバジリスク絆を200万円払ってでも買う理由が皆さんにもわかりますよね。
PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。