2016年3月の業界動向とウワサ


 まだまだホール組合側とメーカー組合側で細かな決定事項がなされておらず、釘問題が収束できるのかどうかは定かではありません。しかし着々と撤去されるべき機種のリストは発表されており、先日も第二弾が提出されました。そこには以前から名前が挙がっていた「CRスーパー海物語IN沖縄3」も列挙されており、いよいよホールにとっては戦力になっている機種の撤去を余儀なくされることとなりました。

 業界内で半ば自嘲的に「可及的速やかに」と言われる撤去時期ですが、概ねリストが出てから3ヶ月程度が猶予期間と言われています。リストに機械の名前が挙がった瞬間から、中古移動もできず、当然再認定(※遊技機は検定通過から3年間使用できる決まりがあり、3年経過するとそこからさらに3年使えるように認定作業を行う。これをしないと部品交換等ができなくなる)もできない。つまりホール側からしても、可及的速やかに撤去しないと営業的に問題が出る場合もあるのです。

 今回の目玉機種(台数が多く残っているという意味)の沖海3は、登場からちょうど3年が経過しているので、メーカー側が下取りはできないと突っぱねてもまだ納得できる部分もあります。もちろん釘の問題があったわけですから、メーカーが悪いというホールの主張も理解できます。なので、ここまでの機種は折り合いをつけて良い方向に向かってほしいところですが、この後の「牙狼」を中心とした今でも現役稼働中、かつ納品から1年近くしか経過していない機械の扱いは難しいところ。これらが何の補てんもなく撤去しなくてはならないとなると、ホールは今以上に黙っていないでしょう。それこそ本当に死活問題となる可能性が高いからです。

 このようにパチンコの問題が未だ片付いていないからなのか、パチスロには目立った問題がないように見えます。しかし水面下ではパチンコ同様、いわゆるスペックダウンに向けての議論は進んでおり、どうやら相当厳しい条件を突きつけられているとのこと。某開発者曰く、まっとうな機種を開発しようとしたらノーマルタイプくらいしか作れなくなる。つまり5号機当初のスペックまでさかのぼるような条件も出されているとか。こちらはまだ決定ではないようなので、せめてパチスロの灯は消さないよう頑張って頂きたいところです。

 と、厳しい話をいくつか書かせて頂きましたが、ユーザーの皆様に朗報がひとつ。ユニバーサルグループから4月に納品される「アステカ太陽の紋章」。この機械がパチスロの歴史を変えるかもしれないのです。今まで液晶画面でしか表現できなかった演出を、プロジェクションマッピングと同様の手法で立体的に見せることができるようになっているとのこと。これはPV等の映像で見ると「それほどでもない」と感じる可能性がありますが、実機を見た関係者は「びっくりするほどのインパクトがある」と口を揃えて感想を述べているとか。

 メーカー側も事前情報を絞ることでホールデビューと共にインパクトを感じてもらう手法を取るらしく、現時点での情報がかなり少ないです。スペック的にはA+ART機で、アステカというタイトル通り、懐かしのリーチ目やデカチリの存在もそのまま。アステカルーレット演出もあるということはCT的なゾーンもあるかもしれません。

 アステカのそれは演出手法の1つではあるものの、従来のパチスロとは一線を画す出来栄えとなっているようで、この後、ゴッドシリーズ・花火シリーズと続いていくとのこと。何かと暗い話が多い業界ですが、この新時代へ向けた取り組みは素直に応援してみたいところです。まあ……機械代が50万円とか高騰しないことが条件ではありますが。
PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。