2015年11月の業界動向とウワサ


 11月に入り、ぱちんこ遊技機の釘問題に進展がありました。進展があったとはいえ、何かが決まったわけではないのですが、問題がある機械を「すみやかに撤去する」という方向性がより明確になったのです。現時点では、対象となる機械全てなのか、日工組がヒヤリングしたメーカーの一部の機械だけで収まるのかは定かではなく、またいつまでにという期間の問題や、撤去にあたり下取りの価格など議論が始まったばかり。今までの流れだと、ここでゴタゴタがしばらく続き、決定まで時間がかかるのですが、その猶予はあまり与えられないだろうと予測できます。ゆえに今回は短時間で方向性を決定づけなければならないはず。ここで躓くとさらに大事になるのは誰もが想像する通りですから。

 ユーザーからすれば、この問題がどのように波及するのか気になるところ。前にもコラムに書きましたが、額面通りホールが釘整備をすると、いわゆるスタートチャッカーには入賞しづらくなりますが、その分ポケット(おまけ穴)に玉が入りやすい状態になり、玉が減るスピードが遅くなる。一言で言えばスピード感は殺がれるでしょう。今のパチンコ台はほとんどがデジタル機であり、そこへの入賞率が落ちるのだから、正直面白くなくなります。

 なぜこのようなことになるのか? 今回明らかになったのが、メーカーが検定に申請する際の釘整備がスタートチャッカーに入賞しづらい状態で試験を受けているということです。つまり、そのような状態で申請しているのだから、試験状態そのままで営業しないと「罰則が下りますよ」というのが趣旨の骨格です。

 メーカー側がそのような状態で試験を受ける理由は適合率を上げるためとのことですが、今後の機械は適合率が下がろうが、無整備でも営業できるものになっていることでしょう。一説には京楽産業の仮面ライダーはその状態で出荷したと言われています。で、それ以前の機械をどうするのか? 速やかに撤去する努力をさらにしなさい! との通告が11月頭に出たということです。

 今まではパチンコ・パチスロで言えば、パチスロがやんちゃで、パチンコは品行方正というイメージがありました。組合組織が強く、お上とのパイプもあるように見え、問題になる前に解決の糸口を見つけてきた歴史があります。しかし一番の大元の問題を今回指摘されており、業界内の人間からすれば「暗黙の了解だったはず」と言いたいところでしょう。大きな枠で言えば、世界で問題になっているフォルクスワーゲン社のエンジン問題と似たようなことで、試験状態とかい離してはいけないということです。血を流してでも健全化に傾向しなければならないのは、業界が大きくなった現在では避けて通れない道なのかも知れません。

 機械全台撤去や、保障の問題を含め、これからどのように進んでいくのかはまだわからないところ。ただしホールサイドから見ても状況は同じです。中には道筋がある程度見えているパチスロ営業により特化するというチェーン店方針を早々に打ち出したところもあります。そう、パチスロは純増枚数が抑えられたり、一撃3000枚でリミッターをかける等、確かにスペックダウンを迫られていますが、ノーマルタイプは健在であり、また山佐はリアルボーナスを連チャンさせることができるシステムをウリに「リノ」の営業を始めています。時代は依然パチスロなのか? 設定により調整できるという点も踏まえ、パチスロのほうが確かに理にかなった仕組みであることは間違いないです。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。