2015年7月の業界動向とウワサ


 先月のコラムでも触れましたが、業界内で言えば「釘問題」が依然出口すら見えない状況で、どう対処していいのか正直わからないというのが本音です。もちろん行政の指導に従って営業するのが基本ゆえ、言われた通りに戻すのが本筋ではありますが、諸元表と言われる「元々こんな状態で試験を受けています」という調整ではホールが営業できないと断言していいレベルだけに、落としどころがどこなのかを業界全体で探っているというのが現時点での実体でしょうか。釘調査が本格化して処分が出ないとその落としどころはわからないのか? その前にある程度のガイドラインを作ることができるのか? 正直後者は難しいと言われています。メーカーが実体に合わせた機械を市場に投入できるのはもう少し先になるでしょうから、どんなことが現場で起こり得るのか……ホール関係者は不安でしかないと思います。

 という状況ゆえ、いろんな情報が錯そうしており、その影響を受けている1つが新台販売です。特に最後のMAXタイプとして市場投入されている機種が、一部の超A級コンテンツ以外は売れていません。好調なのは牙狼とルパン三世くらいで、ルパンですら予定台数には届かないかもと囁かれています。現行MAXタイプをやがてホールの設置台数●●%に収めていこうという自主規制を行う話もありますから、ホールサイドもビッグコンテンツ以外を購入する理由がないのですね。

 逆にパチスロは徐々に先が見えてきました。こちらもスペックダウンはままならない状況ではありますが、現行試験方法に適合した機械がちょこちょこ市場に投入され、そこで最低限の成績を残しています。どのホールもサブ的扱いで販売台数も数千台から2万台程度ではありますが、高ベース高純増のオリンピアマシンや、エヴァ、バイオなど一定の稼働をキープしています。そしてサミーからは満を持して北斗の拳が登場します。出玉性能はさておき完成度はピカイチ。販売台数も北斗の拳にしては絞ってくるようなので、ホールにとっては追い風です。

 パチスロ自体もスペック的にはダウンしたと言えますが、釘のような根本問題がないことと、ノーマルタイプと呼ばれる機種で最低限営業が成り立つこと、わかりやすく言えばジャグラー専門店や沖スロ専門店、Aタイプ専門店のようなことができるわけです。いまこの業態を真剣に考えているオーナーが多いです。釘問題で摘発が相次ぐようであればこの動きは年末に向けて加速するはず。

 ファンとしては、特にパチンコがどのような方向へ移行していくのかをよく見極める必要があると思います。こういった状況ゆえ、まず目先の利益確保に走るようなホールが少なからず出てくることでしょう。そんなホールからは素早く立ち去ったほうがいい。パチンコ・パチスロの楽しみ方はいろいろありますが、常識を超えた利益を取られる必要はないですから。ゆえに最低限、回るか回らないかは自分の感覚で良いのでチェックしていきましょう。

 逆にポケット入賞率を高めて、思った以上に回るホールが出てくる可能性もあります。そういったホールは逆にチャンス。まっとうに営業しようと努力し、その結果(意図はさておき)利益率低減で営業することになるのですから、これを狙わない手はないです。

 どちらに転ぶかも全ては行政次第。これは昔から変わらないパチンコ業界の縮図ではありますが。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。