2015年6月の業界動向とウワサ


 パチスロ試験問題、MAXタイプ(400分の1)規制、はたまたイベント問題など、ここにきてより厳格化が進んでいるパチンコ業界ではありますが、それに加えて「釘」の問題がここにきて業界サイドでクローズアップされています。

 ユーザーの皆さんには専門用語を用いず、わかりやすく説明したいと思います。パチンコ台には釘が打ちこまれており、この釘は概ね垂直でなくてはなりません。まずこれが大前提。そして保通協に機械を持ち込んで試験をして適合した際には釘の角度もきっちりと記載されています。つまりその角度が本来の釘調整となるわけです。

 一般的には、試験の際にはポケット(ヘソ・電チューなどのデジタル始動口以外)に玉が入るような調整となっており、通常ホールで打つ調整よりもポケットに入賞するようになっています。つまりベースが高い=遊べる仕様になっていることが多いのです。

 しかしホールで打てば通常時デジタル始動口以外に入賞することは皆無。つまり遊びを無くし、その分ギリギリまでデジタルを回してあげたほうが楽しいと考える調整が主流です。実際ホールサイドからすればその方が売上(=利益ではない)も上がります。

 遊べた(=お金を使うスピードの話)ほうが良いのか否か…ユーザーによって考え方はまちまちでしょうが、今回の問題はそこではありません。ご存じの方もいるとは思いますが、実のところ釘は調整してはならないという決まりがあるのです。玉が釘にぶつかりその衝撃で釘が曲がった場合など、概ね垂直でなければならないという決まりがあるから「整備」することはあっても、本来は「調整」してはならないのです。皆さんからすれば「釘調整」なんてごくごく当たり前にやっていることであり、パチンコの仕組みを知っている人からすれば出すも出さないも「釘調整」が大前提だとわかっているはず。しかし本来「調整」はしてはならない。正確に言えば試験した時と同様でなくてはならないのです。

 そうなると始動口付近はさておき、先ほど説明したポケット周辺は試験時と釘の角度が違う可能性が高い。その「釘」のチェックをこの6月から行うことになったわけです。しばらくはチェックしながら現状の調査のみとなりますが、半年後には取り締まりの対象となります。つまり大半のホールが釘に対してなんらかの対策を強いられることになるのです。

 なんらか……という表現を用いたのは、実際何をしたら問題でないのかが明確ではないからです。概ね垂直、もしくは試験時の調整と同等というのがどの程度の範囲なのかによって変わってきます。実際のところ「調整」はコンマ数ミリ単位で行うものですから、言ってしまえばどこまでもグレーなわけでして、ホール側も戦々恐々としている状況です。

 ユーザーからすれば、超ぼったくり調整がなくなることにより安心してプレーできるという側面もあれば、お祭り騒ぎになるような出玉には期待できなくなるかもしれない。また、ポケットへの入賞が増えることにより、デジタルが頻繁に停止してしまいスピード感が落ちる可能性はあります。いずれにせよこれから半年かけてなんらかの答えは出てくるでしょうし、それに合わせてメーカー側も機械スペックを変えることになっていくでしょうね。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。