2014年10月の業界動向とウワサ


 今月も試験方法変更の話題について。8月末に突如業界内を駆け巡ったニュース。スロットの試験方法を9月16日以降に持ち込まれた機種から変更するとの通達があり、これにより擬似ボーナス搭載のAT・ART機の開発がダメになるというものです。先月一報をお伝えしましたが、その後いくつか見えてきた部分がありますので、まずは補足情報から。

 まず試験方法変更について、メーカー側として痛手なのが3点あります。1点は「サブ基板での抽選がNG」になること。もう1点は「いかなる打ち方でもベースが55%を下回ってはならない」ということ。最後の1点が「ペナルティを搭載してはならない」です。この3つを明確にされてしまうと、低ベースのAT機は開発できなくなります。

 ちなみに天井機能廃止という噂もあったのですが、天井機能は別段禁止されたわけではないようです。ただし「天井の恩恵が大きいものはいかがなものか?」という物言いがついたようで、今後は天井の恩恵も小さくなるのは間違いないです。

 さて、9月16日以降はこのように禁止事項を守りながら、新試験に適合すべく機械開発をしていくのでしょうか? 実はいくつか見直された部分があります。まず一部手直しは必要になるものの、現行に近いスペックでの持ち込みが1メーカー1型式2機種まで、期限を11月末日として持ち込み可能となりました。また、来年の11月末日までは移行期間とするとして完全禁止までに時間ができたのです。ただしメーカー関係者によると、今年の11月末日以降の1年間に通過する機種のスペックダウンは免れないだろうとのこと。

 また、販売に関しても自主規制が引かれるようです。現行及び来年11月末日までに通過した機械に関しては、来年11月末日までしか新台として設置してはならないと決定された。つまり、現行機種またはこれから出てくる機種に関しても新台として設置できるのはこれから約1年間であり、検定切れした機種の再認定を認めるかどうかは現時点で未定となっています。つまるところ約3年後には全ての機械を入れ替えないとならない可能性があるんですね。流石にノーマルタイプは対象外だと予測してますが、これはホールにとっても痛手です。

 ユーザーからすれば、遊びやすい機種が登場する一方で、現行機種のギャンブル性よりも劣るものを楽しいと思えるのかどうか? これが一番の問題でしょう。パチスロが厳しくなった分、パチンコが良くなるわけでもないですしね。また、カジノ問題も議論が進めばパチンコ自体の存在意義を問われることになるかもしれません。庶民の娯楽として発展してきたパチンコ・パチスロですが、一体どうなってしまうのか? ある意味、時代の証人になる日はそう遠くないかもしれない。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。