2014年9月の業界動向とウワサ


 先ごろ業界を駆け巡ったパチスロネタといえば、試験方法変更の話でしょう。何でも日電協・日工組メンバーが揃った会議にて、一方的に試験方法の変更が通達されたようです。

 すごく簡単に説明すると、試験方法を変更されてしまうと、現在市場で人気のある擬似ボーナス搭載機の開発がほぼ不可能となります。正確に言えば、擬似ボーナス搭載は問題なくとも、ギャンブル性を高めるためにベースを落とし、擬似ボーナス状態だけ純増を増やすということができなくなる。そうなれば商品的には事実上成り立たなくなり、AT(ART機)が完全否定されたのと同じことなのです。

 現時点では9月16日以降に保通協へ持ち込まれたものから新しい試験方法で試験すると言われており、通達が出てから試験変更まで約3週間しかありません。これほど期間が短いのは極めて異例ですが、今回はその理由も明確にされており、この期間が長ければ長いほど駆け込み申請をするメーカーが増えるだろうから期間を短くしたとはっきり言っています。つまり抜け道を許さず、半ば強引に実行しており、ここだけ見ても取り締まる側の本気度が伝わってきます。

 我々機械販売会社としても、なんだかんだ売れていたパチスロの機械開発がストップしてしまうのは死活問題。メーカーももちろん同様となります。また、ファンからすればどのような市場になっていくのかは知りたいところでしょう。状況は刻一刻と変化していますが、ここでは現時点での状況を伝えていきたいと思います。

 まずメーカーサイドからすれば、現時点では情報収集の段階であり、様々憶測的な噂話はあれど、どれも正しいとは言えない状況です。実際やれることと言えば、現時点の情報をしっかりと収集し、問題ないラインで機械を保通協に持ち込み、その結果により手直ししていくという一般的なやり方のみでしょう。そのため目先の機械リリース予定は遅れることになるでしょうが、それが三ヶ月で済むのか、はたまた一年間かかるのかは現時点ではわかりません。なお、時間がかかればかかるほどスペックは厳しいものになると予想できます。つまり時間がかかればかかるほど、現状よりスペックダウンしたものになっていくだろうということです。

 我々販社は現時点での動向に左右されるので、年末までは新機種が販売できると予想されます。その新機種に関しては、通常の評価よりも間違いなく台数が捌けるだろうから、一時的には儲けが出そうです。また、ハーデスやパチスロリングあたりの中古価格も高騰しているので、このあたりのタマ(機械)を押さえているところはオイシイ商売ができるかも。ただし長期的に見ればメーカー同様に厳しい状況となるはずです。

 最後になりましたがファンの方からすればプラスに考えた方が良いでしょう。例えばハーデスなどは通常で考えれば年末年始にかけて減台が始まるだろうから、高設定は期待できずただ撤去を待つだけの機種でした。しかし、しばらく入れ替えができないとなればこのあたりの機種を大事に使わなければなりません。なのでホールによってはそこそこ設定を入れるはず。このあたりのヒット機種は出玉さえあればまだまだ十分に稼働する可能性があります。もちろん目新しい機種を打てなくなることは残念だと思いますが、昨今は少々入れ替えサイクルが早かったのも事実。強制的にその部分が改善されたのだから、あとはやる気のある優良ホールが少しでも増えてくれれば良いのですが。その下地はある意味で整ったといえますね。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。