2014年3月の業界動向とウワサ


 今年に入り、ますますパチンコとパチスロの差が広まっているように感じます。ホールデータから見て取れる数値に関しては、それほど大きな動きにはなっていないと思いますが、パチンココーナーに蔓延する空気とでも言うか、とにかく雰囲気が悪すぎますね。かろうじてルパン三世がヒットの兆しを見せていますが、それ以外の機種はどれも似たり寄ったり。海物語シリーズや京楽系マシンといったメインコースに設置できた機械(コース)にも圧倒的な強さはなく、パチンコ営業の柱が見当たらないというのがホール側の本音でしょう。

 これは見方を変えればユーザーも同じです。とりあえず海物語を打っておけば最低限の釘調整は期待できる時代ではなく、どの機種も同じような(それでも海物語はまだ甘いが)調整ならば、新台をちょっと打ってみようか……というくらいしか遊技動機が見当たらない。そして負けて、パチンコからどんどん遠のいていくというのが現在ホールで繰り返されている負のスパイラルです。

 パチスロにも似通ったところはあるのですが、メインコースで君臨しているジャグラーコーナーは以前の海物語と同様の役割をまだ果たしており、新台でも長期稼動を期待できる機種がぼちぼち出始めています。また、パチスロは最低設定が決まっているので出玉率の下限が決定している。それにノーマルタイプ以外はほとんど天井が設定されているゲーム性なので、立ち回り次第で出玉率をアップさせることも可能です。これは遊技動機としてはかなり優位な点であると思います。

 また、ジャグラーのように比較的緩やかな出玉性能で遊技機の中では低投資で遊べるカテゴリーが安定して存在しながら、逆にアナザーゴッドハーデスのような一発逆転タイプの機械もある。このようにユーザーがパチスロという遊びの中で、“選べる“環境にあるのがパチスロの魅力とも言えるでしょうね。

 4号機時代後期のようにパチスロの設置比率が昨年末より上がってきていますが、今後パチンコが盛り返すことはあるのか。我々機械屋にも情報としてたまに流れてくる「封入式パチンコ」が起爆剤になり得る、ということがあるのでしょうか。パチンコとパチスロの明確な違いはホール側が意図する調整が見えてしまうかそうでないかで、確かにこの違いは大きいと思います。パチンコは調整によってお店の意図が読めてしまい、またデジタル主流のパチンコでは試打すればその台が理論的に勝てるかどうかも判断できてしまう。一方でパチスロはたとえ設定1であっても遊技データおよびゲームポイントから判別するのは難しいもの。遊技者が「設定6…でなくとも高設定は間違いない」と確信しても実は設定1だったなんてことは往々にしてありますし、その逆もまた然り。私自身も本当に高設定を大量投入したリニューアルオープンに立会いをしていて、店長も出す気があるのに予想以上に出ないで常連さんが怒り出す光景を何度も見てきました。それがパチスロ。封入式パチンコが登場すればパチンコもそうしたシステムへと変わりうるかも知れませんね。

 まあ、ホールに機械を販売する立場から見てきて、ようはパチンコという遊びが過渡期にきているのは間違いない。パチスロが安泰とは思いませんが、それでもパチンコに比べれば……ねぇ。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。