2014年1月の業界動向とウワサ


 今年4月に消費税がアップすることにより、パチンコ業界も打撃を受けることは間違いないでしょう。ホールサイドは経費を切り詰めて出玉を確保しようとしますが、果たして新台を買わない営業に耐えうるかは微妙です。イベントも打てないとなると、ひたすら甘く使い続けることしかできませんが、どうもそのような営業をしたところでユーザーの反応は今ひとつ。ただ闇雲に機械を買う営業だと、当然打ち手にもしわ寄せが……。

 そんな中、ひとつの指針を見出す出来事がありました。それは1月頭に導入が始まったパチスロ仮面ライダーアンリミテッド。1万台弱売れた機械なのですが、どうも出玉率が設計通りに収まらないようで、設定1を使っても利益がほぼ取れないとか。具体的には設定1の出玉率が99.5%近くあるようです。発表値は97%台なのでおよそ2%程度の狂いがあり、日々1000〜2000円程度しか利益が取れないとのこと。ホールサイドからすると当初は波の荒さから暴れの範疇だと思っていましたが、一週間経っても利益が取れないことがわかり、現在は今後の対応がどうなるのかメーカー側の判断待ちという状況のようです。

 似たような事案が以前サミーから発表されたサクラ大戦でもありました。サクラ大戦は設定1で赤字になってしまうこともあり、結局メーカー側が利益保障および機械回収を行いました。今回もまたそのようになるのではないかと騒ぎは日々大きくなっています。

 と、ホール側は困惑しメーカーは頭を抱えるという状況なのですが、現状でのライダーの稼働状況は良好です。もちろん仮面ライダーアンリミテッドのデキがいいこともありますが、単純に考えて利益が取れないマシンなのだからお客の財布は傷みにくい。波の荒い機械なので大負けすることもあるが同程度の頻度で大勝ちもあるのでユーザー的には楽しめる機械なのです。思えばサクラ大戦もそうでしたが、負けない機械の稼働状況はすこぶる良いのです。

 今後、仮面ライダーアンリミテッドはメーカーの対応次第で回収になるかもしれない。もしかしたらそのまま設置され続ける可能性もありますが、ポイントはこのような事例を見る限りやはり長く使いたい機種を適正利益で営業すれば機械は間違いなく長持ちするということ。もちろんユーザーの飽きもあるのでずっとフル稼働させるのは難しいと思いますが、しかし無駄な機械を買うくらいならば玉を出したほうがいいという典型的な例だと確信した事例です。

 1月末にはバジリスク絆、2月にはアナザーゴッドハーデスと長期稼動する可能性の高い2機種がデビューします。これらは低設定を使えば1日あたり1万円近い粗利を稼げそうですが、そうなるとどこまで稼動が保てるかはわかりません。その利益設定を半分にするだけで、機械が倍ほど長持ちする可能性は十分にあると思います。パチンコにも同様のことが言えます。現状では平和のルパン三世が圧倒的人気ですが、ホールサイドも人気があるゆえに、またかなり波荒なスペックゆえに、釘はお世辞にも甘いとはいえません。商売として致し方ない面もありますが、もしも回るルパン三世ならばどれだけ長い間、人気機種として君臨していられるか。

 そう考えると、ホールサイドは機械の選定力を上げて無駄な機械を買わないことと、買った機械は大事に使うということ。これだけでホール営業は消費税アップにも十分対応できるのではないかと思っています。まあそうなるとね、我々機械屋としては非常に厳しいのですが……。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。