2013年6月の業界動向とウワサ


 今年のパチスロ動向を決定すると言われているのが「パチスロ北斗の拳 転生の章」のデキ。ホールサイドも最後の勝負機として大量導入するところが多く、この機械が早期に稼動低下するとスロット市場も厳しい……と判断するのは間違いないところ。ユーザーからすればスロットがつまらないのではなく、画一的に波が荒いだけのAT機の氾濫が問題であって、スロット自体に否定的な声はパチンコほどではない。イベントが打てない現在、ただ新台導入だけに頼り、設定を入れないホール営業に問題ありとは思いますが、確かに話題になる機械が短命で終わり、ホール経営を圧迫しているのは間違いない事実でしょう。

 北斗転生ですが、この原稿を書いている時点で導入から1週間経過し、稼働状況は良しと言えるのではないでしょうか。もちろん、昼間は半分近く空き台があるとぼやく店長さんもいますが、スロット全体の稼動でみれば、十分貢献しているといえるでしょう。さすがはパチスロナンバー1版権、お客様をホールへと誘導する動機にはなったようです。

 ただ、一度遊技すると、良いも悪いも過去の北斗の拳シリーズとはゲーム性が違いすぎる。基本的なバトルも単調であり、勝舞魂がいくつあっても勝てるイメージが湧かない。継続バトルはトータルで20%程度の勝率らしいですが、ここで心が折れることが多々あります。もちろんAT機なので、出ている時の爽快感はありますが、なかなか辿り着かないのはAT機の宿命ですかね。

 あとは通常時。このゲーム性は賛否両論でしょうが、旧北斗ファンには苦痛でしかない。レア小役の役割も変わっていますから。どちらかといえば現在のサミー系AT機の流れを汲んでいるマシンですね。中押しできないところも、まあ好き嫌いが分かれるところでしょう。

 現在、増台を検討しているホールも少数はあるみたいですが、逆に少しでも中古機相場で値段が付くうちに減台を考えているところも多いのが現実。しかし、長い目で見れば、1年半前に出た北斗の拳のように長期で使えると判断したホールも少なくないようです。

 実はその影響からか、この夏ホールに設置される新台の購入台数が如実に少なくなっています。話題沸騰の京楽産業初のパチスロ機「ぱちスロAKB48」もそれほど盛り上がっておらず、ホール関係者から「これはいい!」と抜群の評価を得ている「緑ドン炎のオーロラ伝説」も6万台程度で打ち止めとか。緑ドンの盛り上がりは、今までなら10万台売れてもいいくらいの評価ですが、それが6万台で打ち止めなんて、だいぶホールの買い控えが進んでいると言えるでしょう。いわゆる適正台数をきっちり見分けるようになったともいえますが。

 機械を長く使うようになると、その分ユーザーには甘く使えるというロジックになる。そうなれば打ち手にとっては有難いことです。ただし、その環境を作るために、ホールサイドにはマメな設定変更や、機械の特性を知った営業が求められます。大型店が増えた現在、そういったこまめな運営をするところが減っていますので、今一度そのあたりも見直して欲しいと思うところです。
PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。