2012年12月の業界動向とウワサ


 12月に入り、各ホール目玉の機種を多数導入して勝負をかけた営業を繰り広げております。リニューアルが絡んだりすると、ユーザーからすればちょっとしたボーナスをもらえる可能性も増えてきますよね。特に今年はスロットで大盤振る舞いするところが多いのではないでしょうか。なぜならば久しぶりに10万台を超えるヒット機種が誕生! その名も大都技研の「秘宝伝〜太陽を求める者達〜」。12月の1週目からパチンコ「花の慶次〜漢」と共に大量設置が相次いでいるのはファンならもう周知の事実。

 が……。すでにこのコラムを読んで頂いている頃には、秘宝伝のシマには閑古鳥が鳴いている可能性が高いかもしれません。実は導入週にこの原稿を書いておりますが、すでに空き台がちらほら……。ホールによっては100台近く導入したところもあり、台数が多いホールほど空席が目立つ。プレイしてみると、確かに出ている時の爽快感はかなりのものですが、通常時のゲーム性がちょっと……。実際、波も相当荒いので、ハマリに耐えられないユーザーが、早くも秘宝伝にNOを突きつけているのではないでしょうか。

 とあるチェーン店ではすでに半分近くの減台を決めて、12月導入のスロット牙狼増台や、1月のスロットを急遽購入したという話も。どのホールも大量導入して、赤字を打っても稼動が減少していることもあり、コインを出しても見切られるという異常事態。これではもう入れ替えるしか道はない。その手を打つ早さは賞賛ものですが、その分のお金はどこから出ているかというと……。

 何でも秘宝伝は当初8万台程度の販売台数と言われていたにも関わらず、実際には12万台近く売れていたようで、中古市場でも値段暴落。撤去を決めた先のチェーン店も、外したはいいが、売れない。ほんと秘宝伝の手形が落とせないところも出てくるのでは、なんて噂が業者から出始めていたり。

 スロット牙狼、バイオハザード5あたりは常識的な台数しか設置されていないようですが、これで1月末に導入される「ミリオンゴッド神々の系譜ゼウスVer.」も芳しくないようだと、スロットの盛り上がりが完全に終わってしまうかもしれません。まさしくこの冬は神頼みになってきてしまいました。ちなみにミリオンゴッドは7〜8万台売れているとのこと。

 パチンコは相変わらずマックスタイプばかりがリリースされますね。2月には北斗の拳が登場するようですが、当然スペックはマックス。マックスタイプは当たれば爽快感あって面白いのでしょうが、そこまで金銭的にも耐えられないユーザーがますます増えています。もうちょっとマーケティングしていろんなスペックで勝負したほうがいいと思うのですが。でも売れるタイトルはギャンブル性がないとこれまたホール側が興味を持たないのも事実ですしね。ぱちんこAKBくらいの爆発力で十分な気もしますけれど。

 それにしても秘宝伝はどうしてこんなことになってしまったのでしょうか。一説によるといわゆる見本機(ホールさんが試打する機械)のデキがかなり良かったなんて話も聞きます。ホールに導入された機械と全く違う動きに感じたなんて話も聞きますので、そうだとすると導入後の状況を予想するのは難しかったでしょうね。
PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。