2021年1月の業界動向とウワサ


 年末から増加し始めた新型コロナ新規感染者数ですが、ついには一都三県に緊急事態宣言が発令される事態となりました。パチンコファンの皆様は記憶に新しいかと思いますが、コロナ第一波時に緊急事態宣言が発出された際、営業継続していたパチンコ店が猛烈にバッシングされました。実際には全国津々浦々99%のホールが休業要請に従ったのですが、営業を継続した一部のホールにマスコミが殺到。マスコミの論調も「こんな緊急時に要請に従わないのは何事だ!」というもので、営業中のホールに地場の議員が直談判するなんてこともあり、一時は連日テレビを賑わせました。

 その当時から「パチンコ店ではクラスターは発生していない」という業界の声がありましたが、聞き入れてもらえるような状況ではありませんでした。パチンコ業界としては、第一波が落ち着きこの年末年始の第三波が訪れる前に、空調設備の素晴らしさと業界の取り組みについてしっかりとアナウンスできたことは大きかったと思います。先日発令された緊急事態宣言の中にパチンコ店への営業時短要請はあるものの、(営業補償もないが)あくまでもお願いベースとなっています。また、報道の論調もパチンコ店は空調設備もしっかりしているので問題ないというものに変化。第一波の際に(マスコミが先導して)パチンコ店がバッシングされた時は、自粛要請に従わないお店の店名公開が行われるなど(逆に宣伝になるといった意見もありましたが……)とても偏向的な扱いでした。今回の飲食店に対する時短要請ではどうなるのか。あのようなことを二度と起こしてはならないといった空気すらあるので大丈夫かとは思いますが。本来は誰にでも言い分があり、その中で皆で協力して新型コロナ対策をするべき。昨年4月のパチンコ業界へのバッシングは本当にひどかったですからね……。

 この原稿は緊急事態宣言発令直後(1/8)に書いています。現時点での一都三県にあるホールの対応は以下の通り。まず多くのホールが時短営業はしない。一部チェーン店は20時までの時短営業を検討したとの話もありますが、現時点では時短営業を発表したホールはない。先にも触れた通り今回は世間からのバッシングもなさそうなので、営業時間に変更はなさそうです。ただし広告規制に関しては対応する店舗が多いようで、取材系の開催はもちろん、その告知や場合によっては新台入替の告知も控えるところが出てくると予想されます。また、駅前店舗などは夜間照明等にも気を使うことでしょう。

 現時点での緊急事態宣言の期間は約一ヶ月先まで。このあと関西地区や愛知県も緊急事態宣言発令を要望する流れですが、他エリアに関しても一都三県と同じような対応になると考えられます。ここまでが今出ている情報とそれに対応するホールの話です。しかし、この先には多くの問題が山積されます。

 まず入れ替えの問題。緊急事態宣言が出たから新装開店を控える……これを建て付けにして、旧基準機の延命を図れないかと考えるホール関係者がいるのは事実。特に「沖ドキ!」は昨年末から少しでも延命できないかと地域によって議論されていましたが、このドサクサに乗じて撤去を先延ばしするなんてことはあるかもしれません。

 また、緊急事態宣言によって保通協の型式試験対応の遅れや、メーカーの開発部門も開発が遅延するなんてことが起こってくると、これまたそれを理由にして遊技機の設置期限の再延長なんて話が出てくるかも。コロナ禍、そして緊急事態宣言発令によって物事が進まなくなることは、それに乗じてというと言葉は悪いですがホールサイドからすれば有り難い話かと。このあたりはどのような動きが出てくるのか注視したいところです。

 クラスターが発生していないという事実から、パチンコ店で遊ぶことは安全であるといえるかもしれません。しかし実際には他の施設同様に客足は遠のいており、ホール営業はかなり厳しい状況です。メーカーも然り、本当に機械が売れておらず厳しい。よってホールもメーカーもリストラや倒産なんていった話がたくさん出てくることも予想されます。パチンコ業界は不況に強い業界だ……そんなことを言われていた時代が懐かしいですね。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。