2020年12月の業界動向とウワサ


 日本、いや世界にとって激動の2020年が終わりを迎えようとしています。本来ならば東京オリンピックが開催され、熱狂のまま幕を閉じ、その中でパチンコ業界はどのような歩みを進めて行くのか……みたいな原稿を書いているはずでした。しかし新型コロナウイルスの世界的蔓延により、そのオリンピックでさえ延期。人々の生活様式に大きな変化をもたらし、当然パチンコ業界にも多大な影響が出たわけで…。

 今年の1月下旬から新型コロナ関連の報道がされるようになりましたが、まず日本国内で話題になったのがダイヤモンド・プリンセス号へ乗船されていた日本人の罹患。船内はクラスター化し、乗客、乗務員ともに長い間船内に閉じ込められる映像は衝撃的でした。その後、日本国内でもコロナ感染者が増えることとなり、とうとう緊急事態宣言が発出。4月7日に7都府県に対し発出され、最終的には全国的に5月下旬までこの状態が続きました。

 この時点では営業補償がどのようになるか定かではなかったので、緊急事態宣言下においてのパチンコ店の営業についてかなりバッシングが起こりました。営業補償はなくとも未曾有の大惨事ということもあり、ほとんどのホールが営業自粛要請に従うということを余儀なくされましたが「店を閉めたら経営が成り立たない」と自粛要請を守らなかったホールがあったことも事実。こういったホールにお客が殺到し、その模様を魔女狩りのごとく報道され、かなりのヘイトを集めたのも記憶に新しいです。その後、業界団体はパチンコ店における空調設備がいかに優秀かを専門家を交えて世間に説明し、現在コロナ第三波の最中にあって三密を避けるべく旅行の是非や飲食店の時短営業の要請が発令される中、パチンコ店は特に世間から指摘されるようなことはなくなりました。

 また、規則改正によって撤去を余儀なくされるはずの機械の設置期限が延長されたことは、ホール、そしてファンにとってコロナ禍の対応として良かったと言えるのかも気になるところ。いわゆる高射幸機以外は、コロナ禍において代替機の開発・申請が十分でないという理由から延命処置が取られました。本来であれば、5号機パチスロとP機以外のパチンコ機は2020年11月で撤去されていなければならなかったのですが、それが1年延長された形となっています。

 パチンコにとっては遊タイム搭載機が市場に投入されたことがトピックスとして挙げられます。昨年のコラムでもすでに遊タイム機のことを「天井搭載パチンコが登場する予定だ……」と触れていましたが、昨今は発売されるパチンコ機のほとんどが遊タイム付きマシンで、すでにパチンコ機のトレンドとして当たり前になりつつあります。しかし遊タイム性能が強すぎるゆえに一部ハイエナ行為が問題になっており、このあたりはパチンコユーザーに強く推進して行く必要があるでしょう。

 遊タイムマシン全盛の最中、パチンコ機で最もヒットしたのが三洋物産の「P大工の源さん超韋駄天」。本機はひとたびRUSHに突入すると約93%で連チャンするという仕様ですが、最大のポイントはその速さ。1時間RUSH継続すれば3万発オーバーが可能というその速さにパチンコファンが大熱狂。一時は中古機価格が200万円を超える高値をつけ、当初は8000台近くしか流通していませんでしたが、現在は3万台を超える設置となりました。

 その一方でパチスロは期待されたマシンはあれど、どれも稼働が長続きせず6号機市場は低迷しているといっても過言ではありません。2021年には6.1号機がいよいよ登場しますが、これをもって起爆剤にしたいところ。また、満を持して登場した6号機ジャグラーの動向も気になるところです。

 パチンコ業界的にはオリンピック開催による入れ替え自粛、また延命された機械の入れ替え等、コロナの影響により1年間延期されたスケジュールに振り回される2021年になるでしょう。何はともあれ、来年はまずコロナ騒動が沈静化されることを願うばかりであります。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。