2020年7月の業界動向とウワサ


 コロナ第2派到来か? と言われるくらい7月に入って感染者がまた増え始めているものの、さすがにこれ以上は経済を止めるわけにいかないと考えてか、国および自治体からの休業要請等は出ていません。クラスターが特に多く発生している「接待を伴う夜のお店」を含めて、なるべく行くことを控えて欲しいという注意喚起程度で、一体GW前後のパチンコ店バッシングは何だったのか? とパチンコに関連する業界人からすれば恨み節が聞こえてきそうです。それ以降もパチンコ店でクラスターが発生することは未だなく、ホールが有する換気性能の高さからなのか、誰もが声を発することなく黙々と遊技するからなのか、結果的にホールは感染リスクがとても低い場所と認識しても問題ない現状があります。

 しかし現状の客入りは前年対比で比べると7~8割程度となっており、逆を言えばそこまでは何とか戻ってきたものの、これ以上の集客はやはり難しく、ホールとしても経費削減によってこの苦境を乗り切るしか方法は無いでしょう。

 最も有効な経費削減の手段は機械代の削減です。大手ホールが機械代の7割減(非公式)を打ち出したこともあり、他の法人も大なり小なり機械代削減をメーカーに通達しているようです。実際のところ商談に行っても一台も買ってもらえないなんてこともあり、メーカーサイドも予想はしていたものの戦々恐々としています。機械を買わなくてもよくなったのは認定切れ機種の撤去期限延長があったからなのは間違いありませんが、およそ1年間ほど購入頻度ないし購入台数がガッツリ減ることによって、メーカー倒産の話が多数出てくるのではないかと言われています。今まではコロナの影響により営業自粛を余儀なくされたホールが、倒産するか生き延びるかの瀬戸際で営業を強行せざるを得ないなんて話題が多かったですが、これから周辺企業はもちろんのこと、メーカーもまた経営を持続することができない事態に陥る可能性は十分にあるのです。現に営業社員を中心に自宅待機を命じているメーカーや、早期退職を促すメーカーもすでに存在します。

 このような現状を打ち破るにはヒット機種が不可欠です。しかしパチスロにおいて6号機は総じて稼働していない状況で、もはやホールとしても過度な期待はできません。また、ここにきて封入式パチスロの話題が出始めており、来年には導入開始される予定で開発が進んでいるようですが、この新しい仕組みにどれだけ内規変更等を絡めて出玉力をアップできるかがカギとなりそうです。現状では出玉面には期待できない(=現状の6号機と同じスペック)と言われていますが、このあたりを少しでも緩和できれば封入式パチスロも面白くなるでしょう。

 一方でパチンコは現行スペックでも注目されるマシンが出始めているのがポイント。その中でも特に稼働がうなぎ登りで、現在最も人気の機種と言えるのが三洋物産の「P大工の源さん超韋駄天」です。とにかく出るのが早い!というのが特徴で、約93%継続がインターバル無しで続いていくような感覚が新しく、RUSHが1時間継続すれば3万発近い出玉を得ることが可能。設置台数は1万台にも満たないのですが、間違いなくいま一番人気のパチンコ台と言えます。近々再販も行われるようです。

 このように波が荒いか否か?という観点でいえば(出玉総量規制をしっかり守りながら)ツボにハマった時の速さをウリにしたマシンはこれからも登場すると思います。ただし、いわゆる保通協の検査ではかなり「攻めた」仕様となるために、型式試験でいかに暴れないかが適合を取る最も大事な要素となります。メーカー関係者に言わせると、これはもう運でしかないようなので、試験中にはとにかく暴れないことが適合の条件となるようです。市場で“暴れる“ために試験で“暴れない“ことを祈るというのも面白い……。

 また、遊タイム搭載のパチンコ台もどんどん市場投入されます。いま最も注目されているのは「Pスーパー海物語IN沖縄5」。ほぼ現行機のスペックに遊タイムが搭載されており、あくまでもおまけ程度の遊タイムではありますが、ゲーム性の幅が広がるのは間違いなし。暫くはパチンコ中心の市場になっていきそうですね。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。