2020年5月の業界動向とウワサ


 パチンコファンの皆様は、日々ワイドショーで放送されるパチンコバッシングについてどのような感想を持つのでしょうか。前回のコラムでも書いた通り、緊急事態宣言が出されてから指定都道府県下においては営業自粛に従うホールが殆どでした。しかしGW突入直前、東京都の小池都知事が「ステイホームウィーク」と命名したコロナ封じの山場と言われる期間に営業を継続しているホールが数店舗あったことから、その店舗をつるし上げるような報道が加速したのが4月末。休業要請へと指示が一段階強くなり、店舗名を公表される事態になったことも報道を加速させた一因です。

 実際、営業を続けるホールには連日多数の報道陣が集まり(その様を「蜜」だろうと揶揄する声もあったが)、そこに知事や議員が営業自粛をお願いするイベントも相まって、パチンコバッシングは過熱。ついには弁護士資格を持つコメンテーターが「反社会的勢力」の括りでパチンコ業種を認識する暴挙にまで出始めました。

 GWが明け、緊急事態宣言は5月末まで継続されました。一方、13都道府県以外では段階的に解除していく流れもあります。パチンコ店も地域によっては感染対策を施して通常営業できる地域もあれば、東京のように未だ休業要請下の地域もあるのが5月中旬の現状です。

 休業要請の中、パチンコ店を営業するとお客は集まったのでしょうか? 地域周辺で1店舗のみしか営業していないとなると、やはりいつも以上に活況だった場合もあるようですが、基本的にはお客が集まるような状況ではありません。よって営業したところでお店側が濡れ手に粟で儲かるような状況にはならないのですが、やはり利益ゼロよりはヨシ!と考えての営業だったのでしょう。バッシング報道が過熱するなどその代償は大きかったが、背に腹は代えられないということですか。

 ホールがこのような状況ゆえ、現状ではパチンコに関わる全ての業態がストップしています。メーカーは新台の営業をするような状況ではなく、コロナ騒動に契約した5月の機械もキャンセル、また納品延期が相次いでいます。つまり5月以降、しばらく新台を販売することができない=こちらも利益ゼロということになります。また、ホールサイドは2020年に認定切れで強制的に入替が余儀なくされる旧基準機の特例延命処置を陳情しているのが現状。これが特例で許されることになると、その期間は新台を販売しても無意味に近い。メーカーサイドもまさに正念場です。

 ホール・メーカー共に多くの血を流しながらも、なんとか業界が正常化するために力を合わせなければならない現状ではありますが、実態としてその余裕が各社にどこまであるのか? メーカーは上場しているところも多いですし、ホールは何千億円企業が多数ある……とはいえ、これだけ体力的に削られると脱落するところも出てくると思われます。とある中堅メーカーの突発的な人事発表を受けて、もしかしたら……と思っている業界関係者も多数いるようですが、このようなことがこれからどのメーカーで起こってもおかしくないのです。

 また、パチンコユーザーの中で話題になっており、多くの芸能人も追随したネタになりますが、この自粛期間中に遊技したところでまず勝てるハズがないのに、なぜホールに行くのか? ある意味これは依存症の一種なのか? という疑問。私自身はこの期間に我慢せずホールへ行く人を依存症とは思いませんが、逆を言えばパチンコ営業の本質を考えず、いわゆる負け組と言われながらも日々プレイしているユーザーがこれほど沢山いるということが具現化された事例だと思っています。ホール営業の仕組み、また勝ち方のイロハの「イ」を知っていれば、この時期に遊技することは期待値が大きくマイナスになるだろうと想像できる。しかし、そういったことを考えずに「そろそろ当たりそう」だとか、「これだけハマったから次は確変」といったオカルトめいた思想のもと遊技しているファンがまだまだ沢山いるのではないか? お小遣いの範囲で楽しんでいる分には全く問題ないのですが、そういった思想でもない限りこの時期にホールには寄り付かないと思うのです。でもまあ、だからこそパチンコ業界が成り立っているわけですが……。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。