2019年7月の業界動向とウワサ


 パチンコ業界初の族議員誕生となるか!? 7月21日に投票が行われる参議院議員通常選挙。その選挙に自民党比例代表候補として尾立源幸氏が立候補した。本原稿は選挙結果が出る前に書いているので、選挙結果はまだわからない。その結果がパチンコ業界にどのような影響をもたらすのか、このコラムでも触れてみたいと思います。

 車産業に匹敵する巨大産業と言われることもあるパチンコ産業。実際は車産業に比べたらそこまでではありませんが、年間の機械購入代金だけでも1兆円を超える時代もありました。ホールがこれだけの機械を購入しているということは、お客様から頂戴している金額はそれ以上に大きいと言えるので、国内産業としてはかなりの金額が動いているといっても過言ではないでしょう。

 パチンコ業はギャンブル産業ではありません。ファンは玉・コインをホールから借りてプレイし、その結果獲得した玉・コインを景品に交換する。景品価格は1万円が上限と決まっており、各ホールには景品コーナーが用意されているので、そこで獲得した玉・コイン分の景品が獲得できる遊びです。

 しかし実際は特殊景品(ゴールドなど)と呼ばれる景品もあり、この景品はほぼ全国のホールで近隣の店舗にて買い取りしてもらえる仕組みが作られています。三点方式と呼ばれるこの仕組みにより、玉・コインを実際は現金に換えられる仕組みが整っているのです。

 過去には「三点方式は直ちに違法ではない」という答弁もされており、現時点では合法(グレー?)の方式ではあるものの、こういった景品問題をはじめ遊技機のいわゆる釘問題など、パチンコ業界が抱える問題は多々あります。これらを所管する警察庁とのやり取りも限界を迎え、その他産業との競争も含め業界不況も相まって、今回議員を通じて業界の意見を政界に届けられるルートを確立したいという点から、パチンコ業界初の族議員を生み出す活動が始まったと言われています。もちろん尾立候補も議席を得るための支援団体を探していたこともあり、政治活動という観点では両者が合致しての選挙戦となったのです。

 参議院議員を一人送り込んだだけで何が変わるのか? 選挙活動が始まってから業界人がよく口にする意見です。現時点ではパチンコファンも巻き込んでの選挙戦が行われていますが、ファンからすれば業界内の綱引き等はどうでもよく、目の前にある機械が良くなるのか否か? 玉が出るのか出ないのか? そういうところが争点でしょう。まさしく、パチンコ族議員が誕生すると自分たちにどんな特典があるのか、そこが一番知りたいはず。

 応援側の意見を集約すると、今までパチンコ業界サイドから政界に対して意見を聞いてもらえる場すらなかった。また、消費者=ファンの声を届けるところもないので、そういった道を作るために尾立氏を当選させて声を届けたい。そこから業界を変えていく、とのこと。確かにこれは事実であり、また政治的な観点からしても二階派に属している尾立氏であれば少なからず声を届けてくれることは可能だと判断できます。

 機械性能だけの話に集約すると、パチンコ新基準機(Pが付くもの)や6号機はそれ以前の規則の概ね3分の2程度の射幸心へと抑えられることが決定しました。その規則に基づいて機械が開発され、現在市場投入が始まっていますが、やはり魅力に乏しいというのが打ち手の本音でしょう。これは依存症対策をパチンコ業界でも行わなくてはならないという流れもあって決定したのですが、残念ながらファンの意見を聞くことはありませんでした。もちろん警察庁はパブリックコメントの募集こそしましたが、果たしてその意見を反映しようという動きはあったのか、残念ながらそれは無かったと言わざるを得ないです。

 今回の選挙結果は果たしてどうなるのか? また、結果次第ですがファンにとってどのようなメリットがあるのか? 実際どうなるか予測はできませんが、ひとつ言えることは、巨大産業と言われたパチンコ業界が政界とのパイプを持つ持たないをはっきりと選挙で決めなくてはならない舞台へ上がったということ。これは業界にとってプラスかマイナスか、その兆候はすぐに表れるかもしれません。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。