2019年3月の業界動向とウワサ


 パチンコ店の広告規制が全国各地で更に厳しくなっています。それも仕方なしなのが、ホールサイドがあの手この手で「取材」と称した疑似イベントをやめないことが原因です。SNSを巧みに利用し、一般人を装い取材情報を拡散させるなんていう手法は当たり前。それにどこまで効果があるのか定かではありませんが、何とかして情報を拡散させることに躍起になっています。

 いたちごっことは言え、組合サイドも具体的な業者名を名指しで上げる等、もはや行き着くところまで来てしまっているのは間違いない。そこで多くのホールが始めたのが、自ら情報を発信することです。ホール自体が情報発信者なので、もちろんイベント的なことは発信できませんが、ちょっとした情報を含めてホールが自前でユーチューバー従業員を発掘しています。これがちょっとしたブームになりそうなんですよね。

 古くは埼玉県のチャレンジャー幸手店のオーナー自ら売上や入れ替え機種について赤裸々に語る「ひげ紳士」さんのユーチューブが走りであるのは間違いない。自ら古いホールを買い取り「パチンコ店買い取ってみた」というタイトルで動画配信を始めて、閑古鳥が鳴いていたホールに徐々にお客さんが集まり始めました。昨年みなし機を一斉撤去するにあたり一度ホールを閉めることになりましたが(今は再オープンしている)、その最終日には閉店を惜しみ溢れんばかりのお客さんが集まった伝説のホールです。

 その後、愛知県のチェーン店「ラッキープラザ」グループで、主任さんを中心として配信を始めた「ウラッキープラザ」。これが現在最も人気のあるホール自ら配信しているユーチューブといっても間違いないでしょう。ユーザーがホールに対して疑問に思っていることを体当たりで実戦する動画が大ウケで、従業員の方々が楽しそうに動画出演しているのが印象的です。

 この動画がヒットしたことから、最大手のマルハンや全国各地の大手チェーン店で従業員が動画を配信するのが一気に広まりました。新台紹介やリニューアルホールの紹介等、射倖性を煽らないものばかりですが、こうやって地道にホール自らが活動することでファンを増やしていくのが本来の目的。ホール取材というのもこういったことがベースにあるのが当たり前であり、出玉を中心とした「取材」はもう過去のものとなっていくでしょう。

 また、ホール関係者のSNSでの活動も活発になってきています。以前はユーザーとホール関係者が直接やり取りするなんてことはタブーでした。ホールサイドからすれば聞かれたくないこともあるだろうし、オーナーからすればホール関係者とユーザーが直接やり取りすれば不正も簡単にできてしまう。だからそれ自体を禁止にするところがほとんどでした。しかし時代も変わり、やり取りを禁止すること事態がもはや無理になったら、考え方を変えて積極的にコミュニケーションを取って自店のファンを増やす方向にシフトするところが増えてきています。ホール店長とユーザーがSNS上とは言えども会話ができる時代が来るなんて、10年程前には全く想像できませんでしたが……。

 パチンコ業界もSNSをどれだけ有効的に活用するかで集客が大きく変わる時代に突入しています。もちろん失敗すれば負の情報が拡散するのも早い時代。安易にSNSを使用し、叩かれてお客さんをすっ飛ばしたホールも多々あります。ただ、こういう時代の変化についていけないホールは、近い将来間違いなく商売をやっていけなくなるでしょう。それくらい広告宣伝のあり方が変わってきているのは間違いありません。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。