2017年5月の業界動向とウワサ


 5月の連休明け、パチンコ業界団体が一同に集まる会議がありました。この会議には主管庁である警察の担当官が出席することもあり、パチスロの高射幸機の取り扱いについてかなり厳しいお達しが出るのではないかと言われていました。実際のところ明確な指示は出なかったと聞いていますが、パチンコの釘問題がひと段落した現在、次に業界側が対応を迫られるパチスロ高射幸機について状況を説明したいと思います。

 高射幸機の定義はかなり曖昧なのですが、現在は業界団体が提出したリストに基づいて話が進められています。当初は2万枚以上の差玉を記録した機種……との認識もありましたが、実際はサブ基板で出玉が管理されているもので、純増性能の高い機種がリスト化されています。また、一部地域では絶対的エースの「沖ドキ」は、サブ基板で出玉管理がされておらず、瞬発力はあるものの万枚すら厳しいスペックであるにも関わらずリストアップされているとも聞きます。このあたりは曖昧なのですが、いわゆる現在主力で稼働しているART機、およびAT機はほぼリストアップされていると思ってよいでしょう。

 現在発売されている機種は5.5号機と呼ばれるもので、どこから押してもペナルティはなく、純増も2枚までと決められています。また、今年10月からは5.9号機へとスペックが移行され、3000枚のリミッター機能も搭載されることになります。

 スペックが段々と制限されていき、その先には6号機への規則改正が待っているのですが、その理由はパチスロも手軽には遊べない=自主的に規制をしていくという流れにあります。これは行政からも相当の圧力があり実施せざるを得なかったのだと思われます。パチンコはその流れで釘問題を指摘され、400分の1タイプを全て撤去したのはご存じの通り。

 パチスロもまた同じことを迫られているのですが、強制的に撤去させる理由もないので自主努力を迫られているのです。我々ファンがいわゆる高射幸機を楽しんでいる実態がありますから、当然ホールサイドはこの手のマシンを撤去したくない。しかもハズす理由もありません。ただし業界団体としては少しでも進めていかないと、一斉に撤去を命令されるなんてこともあり得る。ということで、段階的に設置パーセンテージを絞って、撤去を進めていこうと昨年に目標数値が出たわけです。

 この数値のポイントは、今年中は50%まで設置してよい、年末の段階では30%まで設置比率を落とすというもので、その先は未定……というものでした。しかし水面下でどのような話がされているのか定かではありませんが、残り30%も来年の春までに全撤去や、年末に30%も残すことが許されないのではないか? なんて噂がちらほら出ていました。そして冒頭にあるように5月頭に厳しい判断を強制的に迫られるのでは……と関係者はびくびくしていたのですが、とりあえずそこはスルーしたようです。

 しかし、この流れは変わることなく、高射幸機が打てるのも長くてあと1年と+αくらいに思っていたほうがいいでしょう。メーカーサイドも撤去を望んでいるとは思えませんが、これだけスペックが厳しいと新しいものが全く売れないし、高射幸機と出玉性能も比べられてしまうので全く稼働しない。最近はサミー系マシンや、大都技研の押忍!番長3など、ヒット機種も出てきており稼働状況も良好ですが、いまだメインは沖ドキ、バジリスク絆、ハーデス、ゴッド凱旋。ちょっと前まではこれらの再設置がメインとなっていましたので、行政側も大ナタを振るってきてもおかしくないかも。ファンにとっては本当に迷惑な話ではありますが、主にパチスロ業界で起こっている流れをここに記しておきます。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。