2024年4月の業界動向とウワサ


 せっかくの盛り上がりに規制が入ってしまうのか……。ネットから登場した「チバリヨ2」ですが、メーカー側がホールを選別して先行導入店にて稼働スタートしたのが3月頭。元々チバリヨシリーズは総じて波が荒く、チバリヨ2もそんなゲーム性を引き継いだスマスロです。強力な上位モードが新たに搭載されており、ツボにはまればさらに出玉が伸びる仕様が特徴となります。

 こちらは開店初日から爆裂出玉をつぶやくSNSでの報告が相次ぎ、他のスマスロとはケタ違いの爆発力を見せています。チバリヨ2は低設定でも万枚出現率が5%を超えるとも言われ、一日の払出上限に達するコンプリート報告も多数寄せられています。そしてそのコンプリート達成率が、いま問題となっているのです。

 パチスロ製造会社(メーカー)で構成される日電協では、スマスロが行き過ぎた遊技機とならないようコンプリート率0.1%を大きく超えないこととする取り決めを行っています。すでに市場投入されているスマスロには波の荒いものも多いのですが、さすがにコンプリート率となると問題になるほど多発するような機種はありません。また、この取り決めに違反した場合はペナルティが課せられることも決まっているのですが、どうやらチバリヨ2はこの取り決め違反に引っかかるのではないかと審議入りしているとの情報もあります。

 チバリヨ2先行導入と同時にその爆発力を目のあたりにしたホール関係者たち。多くのホールが正式販売への注文を入れたようで、合計1万台以上の受注があったとも噂されていますが、メーカー側はそんな受注台数を目立たないように少し絞り、それ以降は何があっても増台販売しないという方向でとりあえず事態を収めようとしているようです。この原稿を書いている時点ではまだ増台オープン前のため、実際にはどのくらいホール導入されるかは未定です。

 現時点の空気感ではそのままお咎めなしだろうとも言われていますが、それはあくまでも日電協における決め事の話であって、監督官庁であるお上がこの状況を見て規則を引き締める可能性もないわけではない。それが業界にとっては一番怖いところ。スマスロの登場によってゲーム性や出玉性能が圧倒的に向上しユーザーも戻ってきている現在、そこにメスが入ってしまうのは最も恐れることであって、そういったことがないように組合でも自ら線引きをしていたのに……と、他のメーカーは愚痴りたいところでしょう。

 さて、パチスロの話題をもう一つ。3月中旬にユニバーサルとサミーが合同開催したファンイベント「ユニバカ×サミフェス」。ここで両社の筐体開発をしているZEEG社から、新筐体と思しきもののお披露目がありました。それは大きな縦型液晶を搭載しておりイメージは”カジノマシン”。もちろんちゃんと「パチスロ」ではあるので、レバーもストップボタンも搭載されています。完全スマスロ化した際にはホール内のレイアウトを自由に組めるということもあり、こういった筐体がユニバ社、またサミー社から登場するとホール自体も大きく変貌していくことは間違いないと思われます。

 なお、お披露目の際にデモ機としてモチーフになっていたのはミリオンゴッドシリーズ。もちろん試作機だと思われますが、新筐体のデビューはゴッドシリーズで間違いないのか? まどかマギカや化物語もデモ機として用意されていましたが、年内登場も噂されるミリゴの新作……期待したい!

 一ヶ月に一度のペースで業界の時事ネタを掲載している当コラムですが、このところ良いも悪いもスロットの話題ばかりですね。それだけパチスロが注目されているわけですが、2024年以降も盛り上がりが続いていくように、くれぐれも大きな冷や水をかけられないよう業界人の一人として願うばかりです。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。