2023年12月の業界動向とウワサ


 2023年も12月に突入し、すでに新機種の話題は来年導入機種に移りつつあります。しかし今年は12月3週目に「ぱちんこ シン・エヴァンゲリオン」シリーズが、そしてパチスロでは「スマスロバジリスク~甲賀忍法帖~絆2 天膳 BLACK EDITION」が登場予定。年末年始の稼働の押し上げになってくれるよう、ホール関係者の期待はかなり高いです。

 さて、今年一年を振り返ってみるとパチスロが盛り返した一年であったと言えるでしょう。ここ数年はパチンコのスペックアップ、出玉スピード戦争に年々拍車がかかり、その射幸性の高さは過去と比べても最高レベルに達しているのは間違いないところ。その裏で6号機の内規も少しずつ緩くはなってきたものの、ようやく6.5号機でいくつか使える機種が登場したくらいの認識でした。

 しかし、スマスロの登場がパチンコとのスペックの差を埋め、ヒット機種が多数登場したことによってホールサイドもイベント等を含めた施策が打ちやすくなり、パチスロを営業のメインに据えるホールも増えてきました。この年末、先にも触れたバジリスク等の登場を踏まえ、さらなるスロット島増台の動きも目立ちます。今や営業の柱は完全にパチスロと言っても過言ではない!?

 導入開始は2022年になりますが、SANKYOからスマスロ第一弾としてデビューした「パチスロ 革命機ヴァルヴレイヴ」がいまだホールの主役として活躍しており、出玉ランキングを見てもその出玉性能は他の追随を許しません。続いて今夏に発表された「パチスロ からくりサーカス」もまた爆裂機としてのユーザー認知度が高く、SANKYO系のパチスロ機が大躍進した年でもありました。

 さらにパチスロ躍進を決定づけたのがサミーの「スマスロ北斗の拳」のメガヒットです。初代北斗のゲーム性をかなり意識して開発されており、休眠ユーザーを一時でも掘り起こしブームを作ったのは本当に凄い。今春に登場したスマスロ北斗は増台に増台を重ねて、ジャグラーシリーズの次に設置台数も多くなるなど全国のホールでメインコースに君臨することになりました。

 スマスロ北斗が初代のゲーム性を踏襲して開発されるにあたり、いわゆる”つらぬきスペック”と称されたゲーム性がパチスロ復活の決定打となったのは間違いないところ。スマスロにも有利区間の概念はあるのですが、AT中にどこで終わってどこで始まったのかを分からなくすることで、極論をいえば無限に連チャンしているように見せることができたのが大きい。スマスロではありませんが、これは金ドキモード搭載によって連チャンを途切れさせない「沖ドキ!GOLD」にも同じことが言えると思います。とにかく、有利区間によって一度出玉の波が途切れてしまうことが、ユーザーにとってストレスの溜まることだったとわかる結果です。

 その代表的な機種が「アナザーゴッドハーデス-解き放たれし槍撃ver.-」でしょうか。波の荒さはかなりのものでしたが、短命に終わった理由はどれだけ乗せても2400枚(+α)で終わってしまう。仕様としては理解していても、感情としてやはり受け入れがたい……そういった声が多数の意見として出ているのも分かります。

 6号機はジャグラーシリーズを筆頭に、地域によってはハナハナシリーズも受け入れられ稼働のベースを作り、さらにコイン機で「パチスロ甲鉄城のカバネリ」や「沖ドキ!GOLD」が人気を得ました。そして気付けば販売される機種の大半をスマスロが占めるようになり、来年に向けてますます勢いを増すことになるでしょう。

 それとは逆にスマパチにはあまりいい風は吹きませんでした。11月導入の「e Re:ゼロから始める異世界生活 season2」の稼働状況は良好で、その少し前に導入された「スマートぱちんこ ソードアート・オンライン」も悪くはない。しかし、少しずつヒット機種が出てきたものの大きなブームを作るほどではなく、現状ではパチンコはまだまだP機(玉あり)が主役です。年末に登場予定のぱちんこエヴァシリーズ最新作も、玉ありの方が圧倒的に売れているようです。

 全体的な見通しは決して明るいものではありませんが、スマスロ&スマパチへ移行すると決めた業界としては、スマスロだけでも定着してくれたのはプラスと評価して良いでしょう。ファンとしても、盛り上がりを見せているホールが増えれば遊技環境もとい出玉にも当然期待できるようになります。来年さらなる盛り上がりを見せてくれるよう、私個人も強く願っています。

PROFILE/某メーカーの営業職を経験後、ホールコンサルティング事業を興すなど業界歴は長い。現在は販社に勤務。業界動向を独自の視点で分析し販売実績を伸ばしているやり手営業マン。業界メディアにも幅広い人脈を持つ情報通でもある。